リコー沼津 野田で34年ぶり全国へ 1メートル84右腕 二刀流やめ相手打者を一刀両断

[ 2020年8月28日 10:56 ]

鈴木政投手コーチに見守られながら投げ込みに集中する野田
Photo By スポニチ

 天皇賜杯第75回全日本軟式野球ENEOSトーナメント(10月30日から岡山、スポニチ主催)の静岡県予選が29日、菊川球場で開幕する。現在6連覇中の静岡ガスが、昨年日本一達成により全国に推薦出場。絶対王者不在の33チームによる戦いで、リコー沼津(沼津)が34年ぶり2度目の全国へ視界良好だ。長身1メートル84の入社4年目右腕・野田大貴投手(21)が急成長。角度のある直球を武器に、しずおか焼津信用金庫(静岡)との初戦から大車輪の活躍を期す。

二刀流を捨て、投手1本での勝負を決めてから才能が開花し始めた。軟式野球人なら誰もが1度は立ちたい天皇賜杯の全国舞台。34年ぶりの悲願は野田の右腕に託された。

 「ちゃんと投げられるようになったのは最近です。まだ納得していないし、まだ楽しくない。ただ、全国に行ければ確実に自信は付くと思っています」

 1メートル84の長身から投げ下ろす角度のある重い直球が持ち味だ。指に掛かれば球速は140キロに近い。変化球はカーブ、スライダーに加え「自分が打者として動く球が嫌でした」とカットボール気味のツーシームを習得。芯を外して打ち取る投球を覚え「長いイニングを投げることが大事。できれば1試合を投げきりたい」と欲が芽生え、同時に「(エースの)雨宮さんにも負ける気はしません。いつまでも任せるつもりもないです」と自覚交じりに笑った。

 昨年同時期までは主に5番・右翼手として出場し、投手陣の台所事情でたまにマウンドに立つ程度だった。しかし、静岡ガスが昨季第74回天皇賜杯で46年ぶり日本一を奪回。その段階で今年の推薦出場が決定し、県内の代表枠が1つ増えた。直後に小林高弘監督(45)から「今後は投手1本で行ってほしい」と伝えられ「チームのため。言われたからにはやるしかない」と素直に受け入れ、誰よりも一生懸命に練習と向き合ってきた。

 無名だった沼津工時代、練習試合で登板している姿を見た鈴木政由兼任投手コーチ(53)にスカウトされて入社。「力のある良い球を投げていた。僕がコーチになってからの3年間、誰にも触らせなかった」と外野手でしっかり腕を振って投げることを学ばせながら機は熟した。今月19日には約半年間の交際を経て美南海さん(26)と結婚。次々と良縁化する20年、大型右腕がコロナ禍を吹き飛ばす快投で岡山切符をたぐり寄せる。(小澤 秀人)

 ≪外山主将も気合「準備できてる」≫主将で3番を打つ外山内野手は「シーズンが始まる前からココ(天皇賜杯)1本に焦点を合わせてきました。準備もできて、気持ちが上がっている。楽しみです」と気合十分。小林監督が1番・常盤外野手を起点に「足を絡めてコツコツ1点を取る野球」を掲げている以上、中軸の役割は大きい。「自分の結果次第」とうなずいたリーダーは「会社に野球をやらせてもらっている感謝の気持ちを出すこと。企業チームである以上、結果で会社の名を残したい」と力を込めた。

続きを表示

2020年8月28日のニュース