「できることは何か」考え決断した日本高野連に拍手を送りたい

[ 2020年6月11日 09:00 ]

甲子園球場
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 甲子園で今年のセンバツ出場校の32校を招待する交流試合の開催決定を発表した日本高野連には素直に拍手を送りたい。西武の松坂大輔投手が夏の甲子園中止決定の際に「“出来ない”ことを決めるだけではなく、“出来ることは何か…”を考えてほしい」と訴えていたが、まさしく「できることは何か」を考えたといえる。

 野球に携わる者にとって「野球は特別」。そこに競技の違いや分野に差はない。思いが強いからこそ、何かできないかと智恵を絞る。32校の中でも、対外試合を現在行っているのは数校。対外試合再開は8月末以降としている県もある。各自治体や教育委員会からすれば「野球だけ特別視は…」となるかもしれないが、高校野球関係者が考え抜いた結果である。高野連発表を受けて各校の監督や選手のコメントをしっかり見てもらいたい。希望に満ちた選手の背中を自治体にも押してもらいたいという気持ちしかない。

 日本高野連が「現時点では無観客を原則とする」と発表したが、あくまで「現時点で」である。出場校の選手、家族や関係者にとっても1試合限りの「甲子園」である。新型コロナウイルスの感染状況次第の部分もあるが、部員、そして家族の方々が、そのプレーを見届けられる環境が整うことを最後まで信じ、検討を重ねてもらいたい。

 甲子園でプレーすることを許された選手たちには、「全国の高校球児の代表」なんて考えなくてもいい。なぜなら、この32校は、もともと甲子園で戦う資格を持った選手たちだからだ。「一部の高校だけ…」と思う批判はナンセンスだ。

 試合で勝つことも、負けることも、積み上げた日々の確かさを証明することもできなかった選手たち。各都道府県高野連も「代替大会」を検討している。そういった選手の生き生きとした表情を目に焼き付けたいと思うのは「特別な夏」だからだろうか。(記者コラム・倉橋 憲史)

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2020年6月11日のニュース