鹿児島城西・佐々木監督「学校をかけてやる試合」初の夢舞台へガチ編成で勝負!

[ 2020年6月11日 05:30 ]

「2020年 甲子園高校野球交流試合(仮称)」実施

甲子園球場での交流試合開催が決まり、ナインに話す鹿児島城西の佐々木誠監督(右端)
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 思わぬサプライズ。しばし理解できなかった。グラウンドで秋武達朗校長から伝えられた甲子園での交流試合決定。鹿児島城西ナインは、きょとんとした表情を浮かべていた。佐々木誠監督(54)から「良かったな、3年生。また頑張りましょう」と言われ、初めて白い歯がのぞいた。

 選抜大会で春夏通じ初めてつかんだ甲子園切符。それが“幻”になっていた。最後の大目標だった夏の甲子園も中止になった。失意に暮れる選手たちに、「高校野球を最後までやりきろう」と言葉をかけ励まし続けた。指揮官は「このようなサプライズをいただき本当に感謝。1試合だけでも聖地で子供たちがプレーできるのは、本当にうれしく思う。一生の宝物」と喜んだ。

 3年生の引退試合だけにするつもりはない。「学校をかけてやる試合。城西の野球を披露したい」と2、3年生による“ガチンコ編成”で臨む。鹿児島独自の代替大会に向けても話し合いを重ね、従来通りの競争を課している。

 南海、ダイエー、西武、阪神で活躍し首位打者にも輝いた佐々木監督。18年に就任し、指揮官として初めて立つ聖地に「プロとは違う。高校野球は別物。指導者として行くので新鮮と思う。持っている力を存分に発揮してくれればいい」。学校の歴史に刻まれる1試合に魂を込める。

 古市龍輝主将(3年)も「世の中で苦しんでいる方々に感動を与えるようなプレーをしたい」と目を輝かせた。選抜大会の中止もつらかったが、夏の大会中止はさらに苦しかった。すぐには受け入れられなかったという。「チームをまとめるのも難しかった。必ず報われるということを信じてこれまでやってきた」と振り返った。

 4チームに分かれて部内トーナメントで戦うなど質の高い練習を行っており「力は付いている」と自信たっぷり。「甲子園に行くのに(代替の)県大会で負けられない。優勝して、甲子園という大舞台でどれだけ自分たちがやれるか。最後は笑って終わりたい」。聖地での一戦に高校野球の全てをぶつける。(村田 有子)

 ≪八方 天国の友人支えに≫チームのダブルエース、八方悠介(3年)と前野将輝(3年)の両投手も意気込んだ。八方は「すべてのチームが甲子園でプレーできるわけではないので複雑な気持ちはあるが、秋の大会の結果が報われたのでその面では率直にうれしい」と話した。夏の大会も中止となり落ち込んだとき、小5の時に白血病で亡くなった友人の存在が支えになったという。「命の大切さ、一日一日が来る奇跡を教えてもらった」。一方、前野は「どっちが先発か分からないが、どちらでもゼロで抑えてどこの高校にも負けないピッチングをしたい」と気合を入れた。

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