阪神 近本で下克上 矢野監督 CSキーマンに指名

[ 2019年10月3日 05:30 ]

平野コーチ(左)の指導で右足を上げバント練習する近本(撮影・後藤 正志)
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 阪神は2日、DeNAと対戦するクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(5日開幕、横浜)に向け甲子園で全体練習を再開。矢野燿大監督(50)は突破へのキーマンに近本光司外野手(24)を指名した。長嶋茂雄(巨人)が持っていたセ・リーグの新人安打記録を更新する159安打を放ち、36盗塁でリーグ盗塁王にも輝いた「虎のフェラーリ」。下克上での日本一というさらなる奇跡へ、初戦からアクセル全開で猛虎に勢いを付ける。

 怒濤(どとう)の6連勝フィニッシュで奇跡の逆転CS進出を決めた9月30日から2日。猛虎が「奇跡パート2」へと動きだした。甲子園での全体練習に参加し選手の動きを確認した矢野監督は、日本一へと続く短期決戦の第1段階突破のカギを握る男に近本を挙げた。

 「勝っているときも、近本が何かいい働きをしてくれているというか。やっぱりランナーで出ると向こうも嫌がる。(捕手出身の経験から)4番ひとりにただ向かうだけなら、そんなに嫌じゃないのよ」

 新人の活躍ぶりは指揮官の印象や記憶だけでなく数字としても表れている。舞台となる横浜スタジアムではチームは今季8勝4敗。近本自身も48打数19安打で打率・396、2本塁打、7打点で3盗塁。出塁率・473と打率はセ・リーグ本拠地別ではともにトップの数字を誇っている。

 「(相性の良さは)意識していなかったが、チームがいい流れで入っていけるなら、それはいいこと。正直、本塁打はいらない。本塁打で1点入るより、3回塁に出ることの方が投手の消耗も大きい。何としてでも塁に出る。そのためにやれることは何個かある。その正確性を高めていきたい」

 1番打者として大きな役割を担うルーキーも自覚は十分。第1戦の先発が予想される相手左腕・今永に対しても12打数4安打で横浜に限定すれば8打数4安打の打率・500で期待は膨らむ。

 CS進出を決めた日のセレモニーで、矢野監督は、ラグビー日本代表に続いて夢と感動を与えることを宣言。その意図をこの日、明かした。

 「リーチ・マイケルから俺がバトンを何となくもらった気がした。俺らは野球で。阪神が頑張っているから頑張ろうと思ってもらえるようなものがあればうれしいなと」

 ラグビー日本代表に負けじと、野球界を代表して猛虎が続く――。ラグビーでは初戦のロシア戦で3トライを奪いチームに勢いを付けた松島幸太朗が、ジョセフヘッドコーチから「フェラーリが突進してくるようなもの」と称えられた。スピードでは近本も負けていない。「虎のフェラーリ」がDeNA投手陣を切り裂く。
(山本 浩之)

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2019年10月3日のニュース