DeNA伊藤裕、背中を押された出会い 懲罰交代も…全てを糧に

[ 2019年3月9日 10:00 ]

DeNA・伊藤裕季也内野手
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 思いがけない出会いに、背中を押された。DeNAのドラフト2位・伊藤裕季也内野手(22=立正大)にとって、初めてのオープン戦。2日に札幌ドームで行われた日本ハム戦前だった。一塁側ベンチから日本ハムの打撃練習を見ていると「伊藤くん」と呼ばれた。振り返ったが、一瞬きょとん。それもそのはず。自己紹介を受け、ようやく顔に笑みが広がった。

 声の主は、日本ハムの青木走野広報兼通訳。立正大野球部でコーチを務める青木智史さんの実弟だ。青木コーチは伊藤裕の2年時に就任。二人三脚で歩んでくれた恩師でもある。「弟さんの話とか聞いたことがなかったので…。全然知らなかった」と最初は驚いていた伊藤裕だったが「顔や雰囲気もそっくりですね」とすぐに話に花が咲いた。

 昨年11月の明治神宮大会決勝で、4番として8回に逆転弾を放って立正大を9年ぶりの日本一に導いた伊藤裕。青木広報は神宮球場に応援に駆けつけ、勇姿を見ていたのだという。その話を聞いた伊藤裕は「今の僕があるのは青木コーチのおかげ。感謝しかないです」と懐かしんだ。わずか4カ月で環境は激変。飛び込んだ世界は簡単な場所ではないが、青木広報から「違うチームだけど、個人的には応援しているからね」と熱いエールを受け取り、心がほぐれた。

 キャンプは2軍スタート。終盤に1軍に昇格したが実戦では結果が出ずに苦しんでいた。それでもこの日、11打席ぶりの安打が飛び出したのも何かの縁かもしれない。ラミレス監督も「練習を見ていると、スラッガーと呼ぶにふさわしい。どの打席も本塁打を狙っている。このレベルにアジャストできれば凄い打者になる」と期待を寄せている。

 7日の中日戦(ナゴヤ球場)では全力疾走を怠り懲罰交代させられたが、全てを糧に進んでいくしかない。たくさんの人の思いも胸に、開幕1軍を目指す。(記者コラム・町田 利衣)

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2019年3月9日のニュース