楽天・則本の過呼吸は投球フォームの副産物 トレーナーが分析

[ 2018年5月13日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天2―0オリックス ( 2018年5月12日    京セラD )

<オ・楽>最後の打者・マレーロを左飛に打ち取り3勝目の則本はグラブにキスし天を仰ぐ
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 凄いエースだ。楽天・則本昂大投手(27)が12日のオリックス戦で今季初の完封勝利。4年ぶり2度目の1安打投球を演じた。過呼吸の症状が出る異変に見舞われながら、9奪三振で107球を投げ切った右腕。最下位にあえぐチームに今季初の3連勝と、12球団ラストでの10勝目をもたらした。

 9回、最後の打者のマレーロを中飛に仕留めた則本は、充実の表情で喜びの輪に加わった。今季2度目の完投で、初完封。異変を乗り越え、チームに逆襲への確かな手応えとなる3連勝を運んだ。

 「よくあること。ここまでのは初めてだったので、休憩させてもらった」

 8回先頭のT―岡田の打席。2ボール2ストライクの場面で呼吸が乱れた。胸に手を当て、マウンドを降りて腰を折ると、佐藤投手コーチに付き添われてベンチに戻った。

 「一瞬、アクシデントと思った」と、梨田監督はブルペンに準備を指示。だが、エースは諦めなかった。林泰光球団トレーナーのストレッチを受け、脈拍が正常になったところでマウンドに戻った。それどころか、T―岡田から3者連続で三振を奪ってみせた。

 9回は「心拍数を整えるため」とガムをかみながらの投球で、先頭の宗を141キロのフォークで空振り三振。この日9個目の三振を4者連続で奪った。5回に吉田正に許した右前打が、最初で最後の被安打だった。

 「胸郭がうまく収縮しないことで起きる状態で、胸を大きく使える投手だからこそ起こる」。林トレーナーは推測とした上で、過呼吸が則本の力強いダイナミックなフォームに起因した副産物だと説明した。

 初回から最速155キロを記録した気迫の投球は、西武に4月28日、5月5日と続けて打ち込まれ、計13点を奪われた悔しさが原動力だ。「ここ2試合ふがいない投球だった。こういう投球をしていればチームに勝ちを付けられる」。まだ借金は13あるが、則本が、楽天が、ようやく戦う体勢を整えた。 (君島 圭介)

 《1安打完封勝利は2度目》則本(楽)が今季3勝目を1安打完封で飾った。自身完封勝利は昨年8月12日オリックス戦以来通算11度目。1安打完封勝利は14年8月15日ロッテ戦に次いで2度目になる。楽天で他に1安打完封勝利は09年8月5日オリックス戦で藤原が記録したのがあるだけ。1人で2度は球団史上初めてだ。なお、楽天投手のノーヒットノーランはなく、チーム通算最多完封18度の田中でも最少被安打完封は09年5月20日ヤクルト戦の2安打だった。

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