寝屋川のエース 失策の二塁手に「夏やり返そうぜ!」

[ 2018年5月13日 07:41 ]

春季高校野球大阪大会準々決勝   寝屋川4―5大阪桐蔭 ( 2018年5月12日    大阪シティ信用金庫スタジアム )

<寝屋川・大阪桐蔭>9回2死二塁、味方の失策で同点となり座り込む寝屋川・藤原
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 公立校の寝屋川が今春の選抜大会で史上3校目の連覇を達成した大阪桐蔭にサヨナラ負けを喫した。1点を追う8回1死満塁から4番・野田大智外野手(3年)が右中間を破る走者一掃の3点適時二塁打。続く一貫田裕貴主将(3年)が左前適時打を放ち、一挙4得点。一時は逆転に成功したが、最後の最後で力尽きた。

 先発した藤原涼太投手(3年)は2回と4回に今秋ドラフト1位候補に挙がる根尾昂内野手(3年)から空振り三振を奪うなど3回までパーフェクト投球。「名前負けしたくない」と意気込んでいたように、堂々の投球を披露した。スライダー、シンカーを低めに集めて大阪桐蔭打線を慌てさせた。

 藤原の兄・風太は京大のエースで3年生。11日の関大1回戦で今春リーグ戦初勝利を初完封で飾ったばかりだ。兄の快投に続くように、弟も奮い立った。「俺もやったろうと思いました」――。

 藤原は中学まで捕手で、高校から投手に転向した。直球の最速は135キロ。スライダー、カーブ、チェンジアップ、フォーク、シンカーと多彩な変化球を操る投球術に敵将の西谷浩一監督も思わず舌を巻いた。「球の出し入れがうまい。クレバーな投手でした」。

 野球部は1949年創部。56年の選抜大会で甲子園に初出場を果たした。翌年の57年は春夏連続出場し、春夏ともに王貞治擁する早実に0―1で惜敗した。特に57年夏は延長11回までもつれ込んだ激戦で、ノーヒットノーランで敗れた。春夏計3度の甲子園で2勝を挙げている。

 9回あと1死の状況まで選抜王者を追い詰めながら大金星を逃した。1点リードで迎えた最終回は二塁手の失策で同点にされた。膝から崩れ落ちた藤原だったが、試合後、二塁手にこう声をかけた。「夏また頑張ろう。夏やり返そうぜ」――。背番号1はさわやかに球場を去った。

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2018年5月13日のニュース