安房 全力野球で甲子園1勝

[ 2008年3月23日 06:00 ]

<城北・安房>8回、打球を追って三塁手・佐藤がカメラマン席に飛び込む

 第80回選抜高校野球大会は22日、内野席がリニューアルされた甲子園で開幕。1回戦3試合が行われ、21世紀枠の安房(千葉)は9回2死無走者から連打で突き放して、創部107年の初甲子園で記念すべき1勝をマークした。同じく21世紀枠の成章(愛知)も開幕試合で逆転勝ち。21世紀枠2校が初戦を突破するのは、第73回大会から同枠が採用されて初めて。北大津(滋賀)も初戦を突破した。23日は1回戦の残りと2回戦の計4試合が行われる。

【試合結果


 【安房2-0城北】強烈なゴロをつかんだ一塁・田中が両手を高々と上げた。内野席まであふれ出た紫色に染まった大応援団から悲鳴にも似た絶叫が響き渡り、球場が歓喜の渦に巻き込まれた。

 107年待ち続けた初めての甲子園で1勝も手に入れた。「選手がこんなにも頑張れるとは、思ってもいなかった」。お立ち台の早川監督の目には涙がうっすらとにじんだ。

 九州大会4強の城北相手に一歩も譲らなかった。再三、走者を得点圏まで出しながら全員で守り抜いた。0―0の8回2死一、三塁では三塁スタンド寄りの飛球を追った三塁・佐藤が勢い余ってカメラマン席へ転落。「落ちた瞬間は痛かった。でも、ボールを捕りたかった」。左脇腹を強打し、左耳が切れて出血したがベンチ裏で治療を終えると、そのまま復帰。安房野球のモットーである「全力疾走、全力プレー」を体現した姿にナインは奮い立った。

 直後の9回2死から鈴木が出塁。4番・鹿嶋が外角高めの直球を右越え三塁打して待望の1点を奪取。さらに痛みをこらえながら打席に立った佐藤が執念の左前打で2点目。指揮官は「重苦しい雰囲気の中、佐藤のプレーが勇気を与えてくれた」とヒーローを称えた。

 部員全員が地元中学出身で、軟式野球経験者が大半の公立校。東大、京大を含めて進学率90%の進学校のために月曜日は練習が休みなど、文武両道を実践する。21世紀枠とはいえ、その中でつかんだ初めての甲子園。緊張しきりで迎えた開会式リハーサルの控室で周りの出場校を見渡せば、自分たちがどの学校よりも小さく見えた。気後れするナインに試合前夜、佐藤が「オレがファインプレーをやって、みんなの気を引いてやる」と宣言。まさに有言実行を大舞台で果たした。

 最高の舞台で、最高の仲間とともに、目標としていた甲子園1勝を達成した。佐藤は2回戦に向けて「目標はありません。全力でやるだけです」。これで満足はしない。安房に“全力”の2文字がある限り、その勢いは止まらない。

 <城北 村方10Kも力尽く…>孤軍奮闘のエースが9回に散った。2死無走者から3連打で2失点の村方は「スタミナというか…。投げ込み不足」と力ない声で振り返った。3回まで完全。5回1死まで無安打に抑えていたが打線の援護がなかった。「村方の調子は良かった。チャンスを生かせなかったのが痛かった」と末次監督は10奪三振のエースをかばった。

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