ソフトB中村晃 ロッテ朗希との3度対決“打率・429”巧打者が持つ冷静な分析、相手への敬意  

[ 2023年6月3日 13:00 ]

ソフトバンク・中村晃      
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 ソフトバンクの1番打者・中村晃とロッテ佐々木朗の今季対決が、個人的には面白い。「そりゃあ、打席に立っている人間しか分かりませんよ」と中村晃はクールに笑うが激闘からの回顧が毎回、的確で一言、一言が重い。かなり勉強になる。

 4月21日、5月5日、同28日。ここまでの対決は3度で成績は7打数3安打(打率・429)。実は1番起用の始まりは、初対決の日から。初戦は3打数1安打だった。

 「いや(指本数は)適当ですよ」とバットを指1、2本分、短く持って初回先頭の初球、162キロ直球を左飛。3回2死でフォーク2球で追い込まれた後、163キロ直球を左前打。6回1死で160キロ初球を右飛の内容に「去年より制球が良くなってゾーンで何とかしてくる。早いカウントから直球を待つ。それ以外ない。球を見る暇はないかな」。ただ、直球の球筋は見えている。そう、感じた。

 こどもの日の2度目の対戦。令和の怪物への、いきなりのボディーブローは見事だった。初回先頭で、2ストライクから8球粘って四球。続く3回2死。基本的に直球、フォークが軸だがスライダーを投げさせた。直後の3球目。勝負を急いだ低めフォークを強振。暴投での振り逃げで一塁へ。打線は5回無安打、12三振を食らったが、出塁者は中村晃のみ。絶対に、タダでは終わらせなかった。

 「悔しい気持ちがなかったら、ここまで(プロを)やれてませんよ」とよく言う。まさに三度目の正直で、負けん気を貫き、意地で軍配を自らに上げた。

 初回先頭では160キロ直球を遊ゴロ。3回まで打線は完全を食らうが打者2巡目の先頭打者は、4回先頭で突破口を開いた。2球見逃した後に3球連続ファウル。カウント1―2の7球目、146キロフォークを遊ゴロ内野安打。続く牧原大は縦変化が緩んだ高めフォークを強振し右適時三塁打。無死三塁で続く近藤は162キロ直球を左犠飛し佐々木朗からの今季初得点「2」を得点ボードに刻んだ。

 さらに6回先頭では初球158キロ直球を右前打し、初マルチもマークした。攻略成功を喜ぶかと思えば、相手への敬意を忘れず、冷静な分析で締める。これが実にシブい。

 「失投はないし、連打は出ない。粘るのも難しい。正直(対策は)まだ分かってないけど、反応でバットに当ててから(球筋を)判断し、何とかするしかない。それで、たまたま甘くくれば」。対戦ごとに、傾向と対策も変わってきてはいる。

今季まだまだ対戦はありそう。目を見開いて対決をチェック後、耳の穴をかっぽじって、また回顧を聞こうと思う。(記者コラム・井上満夫)

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