栗山英樹氏「見たことがない景色をありがとう」感謝の監督退任会見 選手を信じた充実の1年半

[ 2023年6月3日 05:30 ]

花束を手に笑顔を見せる栗山監督(撮影・木村 揚輔) 
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 監督として侍ジャパンを率いて3月の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で09年以来の世界一に導き、5月31日に契約満了となった栗山英樹氏(62)が2日、都内で退任会見を行った。日本ハム時代に二人三脚で二刀流選手に育てたエンゼルス・大谷翔平投手(28)らメジャー組とヤクルト・村上宗隆内野手(23)ら国内組の力を融合させてつかんだ頂点。感謝の思いと26年の次回大会への期待も語った。

 柔和な笑みを浮かべる栗山氏には「やり尽くした」という思いがあふれた。1年半の任期を終えた退任会見。世界一という最高の結果を残し「見たことがない景色を選手たちに見せてもらった。一試合一試合が生涯忘れられない。彼らにこれから何度会っても“ありがとうな”と言い続けるんだろうと思う」と感謝の思いを語った。

 選手たちへの思いは尽きることがない。信じて、信じて、信じ抜いて、それに魂で応えてくれた。その象徴が村上だ。史上最年少の3冠王を4番に据えて臨んだ今大会。不振に悩む23歳を、信じて使い続けた。迎えたメキシコとの準決勝。1点を追う9回無死一、二塁で送りバントは選択せずに「おまえに任せた」と打席に送って、村上は劇的な逆転サヨナラ二塁打で応えた。

 米国との決勝のマウンドに送った大谷も同様だ。エ軍から中5日以内の登板間隔が認められていなかったが、大谷は自らフィル・ネビン監督に登板を直訴。日本での準々決勝から米国移動を挟んだ中5日でマウンドに上がった。栗山氏は「野球人なら“投げたい”と言ってくると信じていた」と決勝後に語っている。同じく中5日で登板したパドレス・ダルビッシュとともに指揮官が「野球人の魂」を信じ、両投手が信頼に応えた結果だった。

 カージナルスのヌートバーを日系選手で初めて招集するなど既成概念にとらわれず、最後まで信念を貫いた栗山氏は「全ての野球人が自分の都合を忘れ、日本の野球のために全員が力を尽くした」と言った。それこそが“侍魂”。連覇を狙う次回26年大会へ向けては「全ての人たちが日本の野球のために必ず集結するはずなので、さらに素晴らしいチームになると信じている」と願った。世界一となった名将は魂の継承を願い、栄光に彩られたユニホームを脱いだ。(秋村 誠人)

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