ヌートバー招集で開かれた日系選手「戦力」への道

[ 2023年3月25日 05:05 ]

ペッパーミル・パフォーマンスをするヌートバー
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 【侍ジャパン正夢舞台裏】日系メジャー選手初の日本代表入りを果たした外野手、ヌートバーの功績は計り知れない。俊足巧打の1番打者としてだけでなく、ペッパーミル・パフォーマンスなど、ムードメーカーとしても貢献。祖父・達治さんの名前と同じミドルネーム「タツジ」に由来する「たっちゃん」の愛称でチームに溶け込み、ガッツあふれるプレーで日本のファンの心もがっちりつかんだ。

 栗山英樹監督は代表メンバー招集にあたり、全ての可能性を探った。今大会の出場資格は以下の7つ。(1)当該国の国籍を有する(2)当該国の永住資格を有する(3)当該国で出生している(4)本人の両親のどちらかが当該国の国籍を有する(5)本人の両親のどちらかが当該国で出生している(6)当該国の国籍またはパスポートの取得資格がある(7)過去のWBCで当該国の最終ロースターに登録されたことがある、となっていた。

 昨年11月の50人の予備登録では、他にガーディアンズの日系3世の外野手クワンも含まれた。クワンは同9月にエンゼルス・大谷が遠征先でのアップ中に“スカウト”したことでも知られ、ヌートバーと同様に水原一平通訳が連絡を取り合っていた。母方の祖父母が山形出身だったが母が米国生まれのため、出場資格を得られなかった。

 その他、エ軍で昨季現役引退した捕手のスズキ、ヤンキースの内野手カイナーファレファ、ブルワーズで18年MVPの外野手イエリチは、いずれも日系3世で出場に前向きな姿勢を示していたが、出場資格は満たしていなかった。関係者によれば、イエリチは自ら日本代表側に出場を売り込んできたという。

 ヌートバーとカージナルスで1、2番を組む内野手エドマンが、韓国系米国人として韓国代表に初選出されたが、結果を残せず“バッシング”を食らう憂き目にあった。一方、イタリア系米国人のフレッチャー兄弟が同国初の準々決勝進出に貢献するなど、今大会の出場資格が野球界の裾野の拡大に好影響を与えたことは間違いない。

 栗山監督は初の日系選手招集にあたり「世界がグローバル化していく。いろんなところで野球をやっている人たちが集まることに、凄く意味がある」と訴えた。前例をつくったことで、今後も国外で活躍する日系選手が「戦力」となる道が開かれた。(WBC取材班)

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2023年3月25日のニュース