健大高崎・伊藤利花子さん 元黒帯マネジャーが見据える“夏の夢”

[ 2023年3月25日 05:10 ]

第95回選抜高校野球大会第6日・2回戦   健大高崎2-7報徳学園 ( 2023年3月24日    甲子園 )

記録員を任された高崎健康福祉大高崎・伊藤利花子マネージャー(撮影・成瀬 徹)
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 【素顔で君にアイラブユー】高崎健康福祉大高崎が陣取った一塁ベンチ。チームは2年ぶりの選抜出場となったが、伊藤利花子マネジャー(3年)は記録員として初の聖地。万感の思いを胸に、スコアブックにペンを走らせた。

 チームに不可欠な大役。「冷静に…」と思っても自然と右手に力が入り「緊張して手が震え、いつもより汚い字になった」と振り返る。エースの小玉湧斗(3年)が2回2死満塁から3連続押し出し四球で3失点。「B(四球の印)を、これ以上書きたくなかった…」。完敗。それでも選手の勝利を狙う気迫を間近で感じ「一緒に戦えていると感じました」と笑う。試合後は青柳博文監督と相手チームに深々と頭を下げ、仕事を全うした。

 新潟県新発田市出身。七葉中時代は女子柔道選手として県の強化指定に選ばれながら3年時に左膝を痛め、競技を諦めた。苦渋の決断だったが、別の夢があったことで前向きになれた。「プロ野球観戦が趣味だった父の影響で私も野球が好き。柔道を始める前は野球部のマネジャーもいいなと思っていたから“よし、なろう”と、すぐに方向転換しました」。進学希望は甲子園を目指す強豪校。場所は問わず、12年選抜4強の実績を誇る同校に進学した。部室の掃除や洗濯、スコア付けもこなし、今回も大役を任された。

 思いは選手と同じ。聖地を体験し、さらに勝利への思いは強くなった。「会話をしながら、選手の言動や表情をつかみ、サポートしていきたい」。新潟から群馬に越境してまで夢を追いかけた元黒帯のマネジャーは、すでに夏を見据えている。(伊藤 幸男)

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