「甲子園に連れて行く」幼なじみ2人から始まった女子ノック解禁 城東・永野マネジャーが歴史変えるまで

[ 2023年3月15日 10:31 ]

外野ノックを打つ城東・永野悠菜マネジャー(撮影・河合 洋介)
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 第95回選抜高校野球大会(18日から14日間、甲子園)から女子部員が試合前練習でノッカー役を務めることが認められる。日本高野連が女子部員の活動範囲の拡大を検討していた中、21世紀枠で選出された城東(徳島)の永野悠菜マネジャー(3年)が普段の練習からノッカー役を担っていることがきっかけとなった。

 永野さんは、選手が12人しかない環境を補おうと、昨年4月からノックを打つ練習を始めた。勉強時間を確保するため午前6時から1時間自主学習してから、授業が始まるまでバットを振る日々を繰り返した。最初はバットに球が当たらなかった。それでも練習開始から約1年が経ち、今では連日外野のノッカー役を任されるまでに成長した。 

 その努力をナイン全員が知っている。新治良佑監督が証言する。「普通なら2、3日頑張って諦めると思うんです。球がバットに当たらなかったんですから。手が血だらけになってもノックバットを振り続けた彼女は、本当に尊敬に値します」。現在の朝練は、永野マネジャーが下級生にノックを打つことになっている。その理由は「監督の僕が打つ球とは、意味合いの重さが違う」から。練習を補助するだけでなく、選手の成長を促すためにも欠かせない存在となっている。

 主将の森本凱斗(3年)は「部員には感謝の気持ちがあるので、試合以上に集中してノックを受けることができる」と明かす。永野さんと森本は、幼稚園からの幼なじみ。森本が「甲子園に連れて行くから」と硬式野球部のマネジャーに誘った。「一度やると決めたら、頼れる存在だと分かっていたので誘いました」。主将の見る目は間違っていなかった。

 昨年のクリスマスパーティーでは、「僕が勝手に決めました」と主将の提案で女性用のノックバットをプレゼントした。そのバットで甲子園史に新たな1ページを加える。(記者コラム・河合 洋介)

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2023年3月15日のニュース