15年にマリナーズでノーノ―岩隈久志氏が大谷の進化を解説 直球の威力が増して「投手」の幅広がった

[ 2022年10月1日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス4―2アスレチックス ( 2022年9月29日    アナハイム )

<エンゼルス・アスレチックス>5回、軽快な動きでカペルの投ゴロを処理してガッツポーズする大谷(撮影・白鳥 佳樹)
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 マリナーズなどで日米通算170勝を挙げた岩隈久志氏(41=マリナーズ球団アドバイザー)が、日本選手では96、01年の野茂、15年の自身以来3人目のノーヒッターに迫った大谷の今季の進化を分析した。打者として目立った昨季に比べ、投手としての進化が際立ったと指摘した。

 最終盤にきて素晴らしいピッチング。ジャッジとのMVP争いが注目されますが、本当に評価されるべき内容だったと思います。また必ずチャンスがあるでしょう。私は運良く達成できましたが、大谷選手は実現させる力があると、マウンドで表現しています。

 今季はトミー・ジョン手術後、本格的に二刀流でフル回転したシーズン。去年の序盤は探りながら、間隔を空けたり、投手としてはなじませていた状態。打者で目立ちましたが、今年は投手としてという意気込みを感じていましたし、それを実行するところが凄いですね。

 まずボールの威力が増し、平均球速が上がった。序盤は腕が横振りで制球が安定しないところもありましたが、カーブで縦の体の使い方をするようになり安定。日によってスライダーを直球より多く投げたり、ツーシームも投げ始めた。フォームのバランスも安定し四球も減少。直球ばかりがフォーカスされがちでしたが、より幅を広げました。

 一番は真っすぐの威力が上がったから。だから変化球も生きてくる。メジャーは、やはり力がある選手が強い世界。いろいろな選手がいますが、パワー勝負で勝てる選手が一番強い。その領域で日本人が戦えることが凄いし誇りに思いますね。

 規定打席と規定投球回のダブル達成も問題ないでしょう。これは歴史的なこと。勝ち星や奪三振数はサイ・ヤング賞級に達している。夢とかじゃなく、現実的に目指せるレベル。試合終盤、シーズン終盤でも出力を上げられるように、体力的にも充実している。本当に、どこまで進化していくのか。ファン目線で追ってしまうぐらい、素晴らしいシーズンとなりました。(元マリナーズ投手)

 ▽岩隈久志のノーヒットノーラン マリナーズ時代の15年8月12日、本拠地でのオリオールズ戦で達成。後にオリックスでプレーするジョーンズ、マチャド(現パドレス)らリーグ屈指の強力打線に3四球も、1併殺を含む内野ゴロ11、フライアウト8、7三振、116球で封じた。DH制のア・リーグでは3年ぶりの快挙。日米通じて自身初の達成で、メジャー通算136先発で唯一の完投、完封だった。

 ▽野茂英雄のノーヒットノーラン 2度達成。日本選手初の快挙はドジャース2年目だった96年9月17日のロッキーズ戦。110球で、4四球8三振で達成した。標高が高く打球が飛びやすいクアーズ・フィールドでの達成は、現在でもこの一度のみで高く評価されている。2度目はレッドソックス時代の01年4月4日のオリオールズ戦。3四球で11三振を奪った。オリオール・パークでの達成も開場以来この一度しかない。

 【主な日本投手のノーヒットノーランならず】

 ☆レンジャーズダルビッシュ 13年4月2日アストロズ戦は完全試合まであと1人の9回2死から安打を許し、日本投手初の快挙を逃した。また、翌14年5月9日レッドソックス戦でも9回2死から初安打され、「あと1人」で2度以上逃したのは大リーグ史上3人目となった。

 ☆ツインズ前田健太 20年8月18日ブルワーズ戦で9回先頭に初安打を許し、史上初の日米でのノーヒットノーラン達成を逃した。救援陣が打たれて白星も消えた。

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