阪神・矢野監督　大ブーイングの中、村上に申告敬遠＆2桁星かかる伊藤将も降板の“鬼継投”

セ・リーグ   阪神2－1ヤクルト （ 2022年9月28日    神宮 ）

＜ヤ・神＞ファンに声援に応える矢野監督（撮影・平嶋　理子）
Photo By スポニチ

　宣言通り「鬼」になった。1―0の6回2死二塁、阪神先発の伊藤将が奥村の不運な投前内野安打と自らの失策で追いつかれた。迎えるのは村上。ここで阪神・矢野監督は大ブーイングの中で申告敬遠を指示しただけでなく、そこまで力投し、2年連続2桁勝利がかかっていた左腕をマウンドから下ろした。

　「将司（伊藤将）の10勝はオレも気にしている。でもチームの勝ちを最優先するところなので。それは仕方がない。オレの立場で将司の10勝も考えているけど、それを優先させる場面ではない」

　代わった浜地がオスナを右飛に料理。非情にも見える采配によって同点で切り抜けた結果、8回の原口の勝ち越し打につなげた。伊藤将も悔しさをかみしめながら「2桁という目標にはならなかったですけど、来年2桁勝てるようにしていきたい」と前を向いた。

　連勝が絶対条件だった神宮での2連戦を前に「チーム優先というのは、ここに来て当たり前」と宣言した。勝負に徹する采配で見事に“ノルマ”を達成した後には、レギュラーシーズン最後の神宮とあって左翼席の虎党に深々と頭を下げた。鳴り響く「矢野コール」を全身に浴びつつ、球場を後にした。ただ、もちろんこれで終わるつもりはない。

　「俺に対してメッセージを書いてくれたボードやタオルも、いつもよりたくさん上げてくれている。コールもしてもらって。でも、これで終わりと思っていない。帰ってくれば良いだけのこと」

　単独3位に浮上し、クライマックスシリーズ（CS）がまた一歩近づいた。再び神宮の地に立ち、ファイナルステージで王者を倒す――。青写真では終わらせない。（山添　晴治）