高木美帆の恩師「夢の続きをありがとう」、最強オールラウンダー誕生の原点となる12年前のやりとり明かす

[ 2022年2月8日 05:30 ]

北京五輪第4日 スピードスケート女子1500メートル ( 2022年2月7日    国家スピードスケート館 )

平昌五輪後、東出俊一さんにメダル獲得報告をした高木美帆(左)と高木菜那
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 スピードスケート女子1500メートルで冬季五輪の日本勢単独最多となる4個目のメダルを獲得した高木美帆(27=日体大職)を北海道・帯広南商高時代に指導した東出俊一氏(65)がスポニチ本紙に手記を寄せた。「夢をありがとう!」と感謝し、最強オールラウンダー誕生の原点となった12年前のやりとりなどを明かした。

 教え子が五輪でメダルを獲得する夢は平昌五輪で実現しています。その夢が4年たってもまだ続いていて、またワクワクできる。感謝しかありません。私は美帆の高校入学後に種目を絞ることを勧めましたが“全部やりたい”と言われ、意思を尊重しました。レベルが上がれば種目を絞るのが一般的ですが、自分を貫き、五輪で5種目出場を実現したのはすごい。常識を覆す姿は野球の大谷翔平選手と重なります。

 高校1年時は500、1000、1500メートルの3種目でW杯に出場。過密日程でケガが心配だったので国内のジュニア大会の欠場を提案しましたが“全部出る。タフな日程をこなすことが今後につながる”と聞き入れられませんでした。今大会は疲労を心配する声もありますが、逆に間が空くことに慣れていない。まだ3種目(500、1000メートル、団体追い抜き)ありますが、ここ1、2年で思い立ったことではなく、12年間の蓄積があるので、まったく問題ないと思います。

 高校入学直後に橋本聖子さんに“日本の宝なので、よろしくお願いします”って言われたんです。当初は“宝をゴミにした”と言われたらどうしようと、びびりましたが、杞憂(きゆう)でしたね。5日の3000メートルでメダルを逃して不安をあおる報道もありましたが、持ちタイムを考えれば6位は想定内。3000メートルから中1日のレースでも心配はしていませんでした。

 高校3年時に3000メートルで菊池彩花さん(14年ソチ、18年平昌五輪代表)と同走して、最後の100メートルで競り負けたレースがありました。でも美帆は目標タイムを上回ったからゴール直後にガッツポーズをしたんです。驚きましたね。美帆にとっては、自分のやろうとしたことをできたかが最も大切。それは五輪でも変わらないと思うので、残りレースもメダルの色に関係なく自分の納得いく滑りをしてほしいですね。

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2022年2月8日のニュース