中畑清氏 「世界が一つになる」それが五輪の役割であり使命

[ 2022年2月8日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】やってくれたね。男子モーグルで堀島行真が日本人メダル1号となる銅メダルを獲得すれば、ジャンプ男子個人ノーマルヒルで小林陵侑が金メダルに輝いた。ともに平昌五輪で逃したメダル。この4年間の努力に思いをはせると、こみ上げるものがある。おめでとう。

 4年前、私も平昌に行ったんだ。2月10日、サンマリンスタジアム宮崎で行われたジャイアンツ―ホークスOB戦を終えて韓国に飛んだ。スピードスケート、フィギュアスケート、カーリング、スノーボード…。初めて現地で見た冬季五輪。氷上、雪上で繰り広げられる世界のパフォーマンスを目の当たりにして血が騒いだね。

 コロナ禍の今年。北京に行けないどころか、予定していたプロ野球のキャンプ取材もオミクロン株の急拡大で自粛している。自宅で五輪とキャンプ中継にかじりつく日々。生の興奮は味わえないけど、五輪、スポーツが持ってる力をかみしめている。

 心を動かされたのはスノーボード女子スロープスタイル。金メダルに輝いたニュージーランドの選手を決勝に残った12人全員が抱き合って祝福してるんだ。競技って勝つことが大事なんだけど、もっと大事なのは国を超えた人のつながりだ。

 地球に住む人が一つになって共通の敵であるコロナと闘わなきゃいけない危機だというのに、世界の大国間できなくさい動きが出ている。下手するとまた過ちを繰り返してしまうんじゃないかという怖さすら感じる。五輪のモットー「より速く、より高く、より強く」に去年の東京五輪から「ともに」が加えられた。今こそ「ともに」の意味を考えようよ。

 五輪はアスリートが国を代表して戦うんだけど、メダルの数を競うためにあるんじゃない。言葉の違いとか肌の色を超越してさ。スノーボード女子のように、戦い終えたら世界中の人が一つになる。そう導くのが五輪の役割、使命だと思う。

 8日にはフィギュアスケート男子の羽生結弦が登場する。子供の頃から描いていた自分の夢、4回転半への挑戦。コロナ禍の地球全体に元気と勇気を与えてくれると信じている。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2022年2月8日のニュース