稲見萌寧の肉体改造をサポートする新トレーナーは元甲子園球児

[ 2022年2月8日 08:00 ]

賞金女王に輝いた稲見萌寧
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 【福永稔彦のアンプレアブル】女子ゴルフの稲見萌寧(22)をサポートするチームに新たなメンバーが加わった。今季からトレーナーの沢木弘之氏(45)がツアーに同行することになった。

 沢木氏は千葉県出身。幼少期から野球を始め、志学館高では投手、主砲として活躍した。3年春に肘を壊してから外野手での出場が多くなったが、3年夏の千葉大会では2本塁打を放ち、先発、救援で4試合に登板しチームを優勝に導いた。

 甲子園では1回戦で近江(滋賀)に4―5で敗れた。4番、右翼手で先発出場し4打数無安打に終わったが、3回途中から2番手としてマウンドに上がり5回0/3で被安打2、失点2、自責点1の成績を残している。

 東都大学リーグの強豪・青山学院大でも野球部に入部した。しかし、肩と肘の負傷のため競技続行を断念せざるを得なくなった。

 そうした経験から「ケガでスポーツをやめる選手を少しでも減らしたいという思いでこういう職業を目指した」。大学卒業後に柔道整復師、理学療法士の資格を取得。03年からは整形外科の病院に勤務する傍ら母校・志学館高野球部や社会人野球・新日鉄住金かずさマジックのトレーナーなどを歴任してきた。昨年8月には「おゆみ野スポーツ接骨院」(千葉市)を開業し院長を務めている。

 稲見が訪ねて来たのは1月初旬。昨年痛めた腰を中心に全身を見てほしいという依頼だった。初診の印象は「腰を痛めた影響で硬くなっていた。触った感じでは動けるような状態ではなかった」。

 腰以外の箇所にも問題を抱えていた。筋肉が硬くなり、体全体の柔軟性が失われていた。「今までいろんなスポーツ選手を見てきたけど、あそこまで体が硬い選手はいなかった」。その影響はスイングにも及んでいた。

 沢木氏は「ゴルフで使う体幹を捻る、捻転の動きが全然できていなかった。上(半身)が回らないので手や腰で回している。それが腰痛の原因なのかなと思う」と明かした。

 ゴルフのスイングはテークバックで上半身を回転させ、下半身と捻転差をつくることでパワーを生み出す。当然ながら柔軟性が高い方が体を捻りやすい。

 しかし、体が硬い稲見は上半身と下半身の捻転差をうまくつくることができないため、手だけでクラブを上げたり、腰を回したりする。そうした体の使い方が腰痛の一因にもなっていたというのだ。

 沢木氏は、上半身の可動域を広げることが必要だと考え、硬くなった部分をほぐす施術を行うとともに、稲見に体幹と肩甲骨周辺のストレッチとトレーニングを指導し始めた。

 効果は徐々に表れている。稲見は「ストレッチを教えてもらい、これまでできなかった体の動きが少しずつできるようになった」と話す。腰痛も改善しているという。沢木氏も「可動域が広がれば、余計な力みが入らないし、(スイングが)安定する。パフォーマンスももっと上がると思う」と太鼓判を押す。

 今季国内ツアーは3月3日に開幕する。昨季9勝を挙げ賞金女王に輝いた稲見にはさらなる飛躍が期待される。「プロゴルファーを担当するのは初めて」という元甲子園球児のトレーナーは「競技は違っても夢を叶えたいという思いは分かる。目標に向かって努力する稲見さんをサポートしたい」と熱く語った。(スポーツ部専門委員)

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