パラ射撃のレジェンド田口亜希 約8年ぶり全日本出場 念願の石巻開催に「感謝したい」

[ 2020年11月8日 20:13 ]

パラ射撃全日本選手権最終日 ( 2020年11月8日    宮城県石巻市nexライフル射撃場 )

試合に臨むパラ射撃・田口亜希
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 7種目が行われ、04年アテネパラリンピックから3大会連続で出場したパラ射撃のレジェンド・田口亜希(49)が男女混合50メートルライフル伏射(運動機能障がいSH1)に出場した。第一線を退いた12年以来、約8年ぶりの参戦。直前に練習ができなかったため、結果は振るわず4位だったが「60発(制限時間50分)丁寧に撃つことが目標だった」と満足げな表情を見せた。

 今回の出場を決意したのは、石巻の射撃場に対する思い入れがあった。13年頃に田口は日本障害者スポーツ射撃連盟の理事に就任。同年には“復興五輪”を掲げた東京五輪・パラリンピック開催決定を受けて「絶対に東京の前年には石巻で全日本をやりたい」と奮起したそうだ。新型コロナ禍で開催も危ぶまれたが、念願かなって実施に至った。「県外から来る選手もいる中で対応していただけた。選手には国内大会の機会も設けられたし、宮城県の方に感謝したい」と涙ぐんだ。

 日本連盟としては初めての選手出身の理事。今大会は石巻への思いに加え、選手としての感覚を思い出すために出場。来夏の東京大会会場である陸上自衛隊朝霞訓練場での視察もすでに行っており、「導線などを考えて、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるように提言していきたい」と話した。

 ◆田口亜希(たぐち・あき)1971年3月12日、大阪市生まれの49歳。25歳の時、脊髄の血管の病気を発症し、車椅子生活になる。退院後、友人の誘いでビームライフルを始め、その後実弾を使用するライフルに転向。アテネ、北京、ロンドンと3大会連続でパラリンピックに出場。アテネでは7位、北京では8位に入賞する。16年五輪招致活動では最終プレゼンターを務め、現在は東京2020聖火リレー公式アンバサダーとして活躍している。

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