W杯で分かれた明暗…日本とアルゼンチンに見る代表強化の手法

[ 2019年10月7日 20:30 ]

5日、イングランドに敗れたアルゼンチン。1次リーグ敗退が決まった(撮影・篠原岳夫)
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 快進撃が続く日本と、イングランド、フランスから2敗を喫し、6日にフランスが3勝目を挙げたことで1次リーグ敗退が決まったアルゼンチン。共通するのはそう、16年からスーパーラグビーに新規参入した2国ということだ。

 日本のサンウルブズは、参入5季目となる来年でリーグから除外されることが決定済み。初年度から1勝、2勝、3勝、2勝と結果は振るわず、順位も17年を除いて3度の最下位。この結果だけを見れば、除外は致し方ないと言わざるを得ない。

 一方でアルゼンチンのジャガーズは、初年度から4勝、7勝、9勝、11勝と推移し、2年連続でプレーオフに進出した今年は、4季目にして準優勝の結果を残した。チームとして、どちらが成功したかは明白。だが、W杯では片や史上初の8強入りに王手を掛け、片や「死の組」に入る憂き目があったとは言え、敗退が決まった。

 両国ともスーパーラグビー参入が、代表強化の“国策”であったことは間違いない。19年大会で代表資格を持つ選手を中心にスコッドを構成し、高いレベルの試合を経験させることで、強化や選考に役立てた。今年のサンウルブズがマーキープレーヤーと呼ばれる日本代表資格を持たない選手が半数を占めた一方、ジャガーズは4シーズン通じて“純血主義”を地で行くメンバーを構成。W杯スコッド31人中、ジャガーズ所属の選手は28人を占めている。

 2月から合宿を開始した日本代表は、W杯代表で主力となりうる選手をサンウルブズに送り出し、実戦経験を積ませる計画だった。だがケガ人が相次いだことで変更を余儀なくされ、主力級でプレーしたのはフッカー堀江やSO田村ら、一部の選手のみ。当初は3月下旬からサンウルブズに合流する予定だったリーチ主将も、恥骨の炎症で断念せざるを得なかった。一方でFB山中やSH茂野は、シーズンインからサンウルブズでプレー。力を認められ、W杯代表に食い込んだ。

 アルゼンチンも代表強化という目的は一緒。だがジャガーズの快進撃が、ロスプーマスにとっては誤算だった面は否めない。マーキープレーヤーを持たず、W杯代表の主力になり得る選手で7月6日の決勝まで戦わざるを得なかった。その2週間後には、南半球4カ国によるラグビーチャンピオンシップが開幕。ニュージーランド、オーストラリアとの連戦で接戦を演じたが、W杯では今回の結果だ。連戦による疲労が暗い影を落としたとの分析結果は、すでに日本協会の強化委員会内でも共有されているという。

 W杯の結果が、第一優先であることは間違いない。だが、サンウルブズを犠牲にし、サンウルブズのファンの期待も大きく裏切った日本代表の強化の手法は、個人的には賛同できるものではないと思っている。アルゼンチンの敗退は気の毒であり、これによって日本の手法が全肯定されてしまえば、世界中のプロリーグにも負の影響が及ぶだろう。

 いずれにしても21年以降は代表強化の手法も、再び大きく様変わりすることになる日本。払うべき犠牲は何か、得られる対価は何か。バランスを取り、ウィンウィンの構造を作らなければ、継続性ある代表強化法は構築できないだろう。(阿部 令)

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