【菊谷崇 キャプテン目線】バックスまで参加 日本に流れ引き寄せた“捨て身”のモールトライ

[ 2019年10月7日 08:30 ]

ラグビーW杯2019 5日サモア戦回顧

バックスもモールに入り押し込む日本代表(撮影・吉田 剛)
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 2011年ラグビーW杯日本代表主将の菊谷崇氏(39)が、5日の1次リーグ第3戦サモア戦を分析した。後半13分、バックスも加わってトライを奪った「男気モール」を試合の分岐点に挙げた。日本代表は6日、東京都内に戻ってサモア戦の一夜明け会見に臨み、1次リーグA組最終のスコットランド戦(13日、日産ス)に向け、SH田中史朗(34=キヤノン)が規律の重要性を説いた。

 19―12で迎えた後半13分のモールトライが、流れを引き寄せるきっかけになった。お互いにミスがあった後、日本ボールのラインアウトは、敵陣深い位置からだった。バックスも参加したモールに、このプレーにかける思いを感じた。

 バックスまでモールに入るということは、次に打つ手がないということ。ここが勝負どころだと、チームで意思統一ができていたのだろう。しっかり押して、No・8姫野がインゴールに押さえた。自軍にも、相手にも、精神的に与えた影響は大きかったはずだ。

 大会初先発のフッカー坂手を評価したい。ラインアウトを全て成功させた。前半4分のWTBレメキの突破は、坂手の素早いパスを受けて左タッチライン際を駆け抜けた。技術の高さを見せた。

 日本が勝つためには、ポイントが2つあると考えていた。
 (1)アイルランド戦のようにボールをキープすること
 (2)体力勝負に持ち込むこと

 日本は、サモアより5回多い27回のキックを使ったが、攻め込んでからスペースを突くものが多く、そこに至るまでは継続して攻める意識が高かった。(1)はできていた。

 しかし、(2)に関しては、反則もあって、前半にあまり相手を走らせられなかった。もっと疲れた状態をつくりたかっただろう。

 サモアを称えたい。規律の乱れが少なく、最後まで面白い展開になった。特にラストワンプレーは胸を打たれた。12点差。敗戦確定の状態で、自陣5メートルからスクラムを選んだ。

 トライを取れば、「7点差以内の敗戦」のボーナス1点を奪う可能性があったが、残り95メートルの攻撃を考えると、タッチに蹴り出して試合を終わらせることが現実的だった。しかし、そうしなかった。

 俺たちは攻める。日本よ、4トライ以上のボーナス点を取れるなら取ってみろ。真っ向勝負に、そんなメッセージを感じた。日本とサモアはパシフィックネーションズ杯などで長年戦ってきている。よきライバルとW杯で戦えることが素晴らしいと思えた。

 1次リーグ最終戦の相手、スコットランドは、9日にロシア戦を控える。日程的には日本が有利だ。

 注意すべきは、セットプレー。欧州のチームは伝統的に強く、サモア戦でうまくいったことがそのまま当てはまるとは限らない。高さがあり、ラインアウトは特に重要になる。ロック陣はさらなる工夫が必要だ。簡単にスコアが動かず、白熱したゲームになることが予想される。(11年W杯日本代表主将、19年W杯アンバサダー)

 ▽日本―サモア戦VTR 日本は前半27分のCTBラファエレのトライなどで16―9で折り返した。後半は一時4点差にまで迫られたが、13分にNo・8姫野、35分に途中出場のWTB福岡がトライを決め突き放した。終了間際のラスト1プレーでは、WTB松島が左サイドにダメ押しのトライ。計4トライでボーナスポイントも獲得した。

 ◆菊谷 崇(きくたに・たかし)1980年(昭55)2月24日生まれ、奈良市出身の39歳。フランカー、No・8。御所工(現御所実)―大体大―トヨタ自動車―キヤノン。サラセンズ(英国)でもプレー。世界規格の突破力、体を張ったプレーで信頼を得た。代表通算32トライは日本歴代3位でフォワードでは最多。11年W杯出場。17年度で引退。日本ラグビー協会リソースコーチ。

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