【JOC竹田会長と一問一答】「潔白をしっかり証明することに全力を尽くしていきたい」

[ 2019年3月19日 18:42 ]

<JOC理事会>退任を表明するJOC・竹田会長(撮影・吉田 剛)
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 日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)が19日、都内で開かれた理事会で、6月の任期満了をもって退任する意向を表明した。国際オリンピック委員会(IOC)委員も辞任する。理事会後の竹田会長の会見は以下のとおり。

 「来年の東京大会を控えて、このように世間をお騒がせしていることを大変に心苦しく思っております。私はJOCの将来のことを思うと、次代を担う若いリーダーにJOCを託して、東京五輪を通じて日本の新しい時代を切り開いてもらうことが、もっともふさわしいという思いにまとまりました。つきましては、定年を迎える6月27日の評議員会をもちまして任期を終了し、退任することといたしました」

 ――退任の意向を決めたのはいつか。IOCのバッハ会長には伝えたか。

 「退任、定年を迎える前でもありましたし、このことは慎重に考えており、早いうちに自分の中では決めて、この日にお話することを決めておりました。バッハ会長には何回も直接連絡をしておりますし、昨日もおとといも電話で話しております」

 ――IOC委員については。

 「IOC委員につきましても今回、辞任することといたしました。IOC委員は憲章によると、その国のNOCの理事になることが求められております。私は今回、定年でJOCを退任いたしますので、IOCもこれで退任することを決めました」

 ――(東京五輪招致でフランス当局から)疑いをかけられていることについては。

 「これまで申しておりますように、不正なことはしていない、潔白を証明すべく今後も努力していきたいと思っております」

 ――フランス当局とはその後、どういったやりとりが。

 「その後は直接ありません」

 ――1月の会見が7分余りで質疑に応じなかったことで、批判が一気に集まった。

 「あの時は私から早くに皆さんにお伝えすべきと思い、記者会見をするように考えて指示をしました。多くのことを語る、質問にも答えるつもりでおりましたが、いろいろな方の意見で質疑には応じないということに決まりましたので、私としては不本意な形で終わって、みなさんには誤解をお招きしたことは大変残念だったと思います」

 ――振り返って、その判断というのは。

 「現在フランスで調査中ですので、影響のあるようなことに関しては、お答えすることはできないと思っております」

 ――今まで竹田会長は丁寧に質問には答えてきた。ああいう形で質疑に応じなかったというのは。

 「ああいう形を私も取らざるを得なかったということで、誤解を招いたのは残念だった」

 ――2020は竹田さんの体制でというのは、ご本人も含めた日本のスポーツ界の総意だったと思うが、なぜこのタイミングで後進に道を譲るべきと考えを変えたのか。

 「先ほどお話ししたように、定年を迎えるのを機に五輪を通じて若いリーダーに託して、新しい次代を切り開いてもらうことが一番ふさわしいと思ったから決めました」

 ――お騒がせして申しわけないと話したが、それも影響したのか。

 「今回みたいな、お騒がせしたことには大変心苦しく思っています」

 ――理事会では名誉会長で残留という提案もあったが、今後もJOCに残るのか。

 「これは私が決めることではないので。みなさんがどう決められるのか」

 ――提案があれば受けるのか。

 「そういうことは今、考えていない」

 ――これまで会長は後進に道を譲るというようなことは一度も公の場では言ってこなかった。本当に考えていたのなら、引き継ぎという意味で、もっと早く話すタイミングがあったと思う。この時点で話すというのは、やはりお騒がせしたというところがあると思うが?そのあたりをもう少し話していただかないと、とても納得できない。あまりにも突然すぎる気がする。

 「いや、私の中ではそういう思いはありましたら、それを今回慎重に考えて決めさせていただいたということ」

 ――一方で、IOCや日本のスポーツ界から、このままでは東京大会のイメージが悪いということで、早期辞任を求める声もある。6月の任期満了ではなく早期の辞任は考えなかったのか。

 「世間をお騒がせしていることは心苦しく思っているが、任期が終了するまで会長として職務をまっとうすることが私の責任だと思っています」

 ――辞意を固めた日付は。

 「日付は覚えてませんが、かなり早い時期にそういう決心をいたしました」

 ――(東京五輪)組織委の森(喜朗)会長とは話されていると思うが、反応は。

 「森さんは私の決断に関しては、よく理解をいただいたと思う」

 ――組織委でもOCA(アジア・オリンピック評議会)でも副会長を務めている。その2つの職については。

 「今後よく検討して、相談して決めていきたい」

 ――IOC委員の辞任はいつごろ。

 「きょう、このように正式に表明したので、あとは手続き上の問題と思います」

 ――退任を決断される一番の決め手は。

 「一番の大きな理由は今後のJOCの将来を思ったときに、時代を担う若いリーダーが、来年迎える東京五輪で先頭に立って、時代を変えていくことが、この五輪を最も成功させることだと私は思っているので、その結論を出しました」

 ――自身の力では疑惑は払しょくできない。

 「いや、もちろん払しょくはしてまいりますし、私は不正なことをしたと思っておりません。ですから、潔白をしっかり証明することに全力を尽くしていきたい」

 ――このタイミングで辞めると、疑惑を認めたと受け取られかねない。

 「そのへんは先ほどから申し上げているように、そういったことは申し上げていない」

 ――辞意の決断は1月の会見の前か後か。

 「時期ははっきり覚えていません。いろいろ私の中では考えを巡らせていましたから」

 ――今年に入って?

 「私が定年を迎えることに対してはずっと葛藤もありましたから。それを最終的に決断したのが、今回みなさんに説明した結論だったということ」

 ――招致活動そのものにグレーな部分があって、非常に難しい面があって。。。

 「いや、そういうことではありません。定年を迎えるにあたって、五輪を成功させるためにも新しいリーダーに、この五輪を通じて、新しい時代をつくりあげてもらおうというのが最大の理由です」

 ――これだけ思い入れのある職務について辞めるという決断は非常に大きいと思うが、いつ決断したかは答えてもらえないのか。

 「いつというのはなかなか難しいが、そういうことを自分で考えながら、葛藤しておりました」

 ――周囲や森会長への報告の時期は。

 「そんなに前に話すつもりはありませんから、自分のことですから、森会長には(事前には)伝えてありません」

 ――(報告は)今月に入ってから?

 「そんなところです」

 ――退任しても疑惑の説明責任は残ると思うが。

 「潔白を証明するため努力していきますが、今、フランス当局の捜査中ですから、説明責任と言っても話せることには非常に限界がある。そのへんはご理解いただきたい」

 ――若い人に譲ることとIOCを辞めることがどうしても結びつかない。(理由は)疑惑としか思えないが。

 「先ほどから申し上げているように、IOCの憲章では、IOC委員はその国の理事になることを求められる。私は会長および理事を退任するわけですから、そのまま理事に戻ることは非常に認められないこと。JOC理事を辞めることがIOC理事も辞めること」

 ――会長を辞めてもJOC理事でいることはできる。

 「会長を辞めて理事で残ることはあまり考えていない」

 ――ああしておけばよかった、という後悔は。

 「自分の決断ですから後悔はありません」

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