日本女子初の偉業へ 美帆、女子団体位追い抜き金で3色コンプリートだ

[ 2018年2月21日 08:12 ]

平昌冬季五輪 スピードスケート女子団体追い抜き

練習に臨むスピードスケート女子団体追い抜きの高木美(手前)と(奥左から)菊池、佐藤、高木菜
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 スピードスケートの女子団体追い抜きは21日、江陵オーバルで準決勝、決勝を行う。1回戦を高木美帆(23=日体大助手)、高木菜那(25=日本電産サンキョー)、佐藤綾乃(21=高崎健康福祉大)で2位通過した日本は準決勝でカナダと対戦。順当に勝ち上がれば決勝で連覇を狙うオランダと激突する見込み。冬季五輪の日本人初、また日本の女性選手としては夏冬通じて初めて1大会での金・銀・銅メダル“コンプリート”を目指す高木美が、チームを頂点に導く。

 中1日で臨む大一番に向けてメンバーは20日、本番会場で軽めの最終調整を行った。高木姉妹、佐藤に加え、1回戦は補欠に回った菊池も練習に参加。世界記録を持つ4人は息を合わせながら滑りを確認した。高木美は笑みを浮かべながら会場を引き揚げ、菊池は「みんなで力を合わせて1番を目指したい」と意気込みを示した。

 1回戦でいきなりミスがあった。佐藤が出遅れ、最初のコーナーで「後ろが見えなかった」と先頭の高木美が減速して後ろを確認。ヒヤリとしたが、後半からは盛り返して五輪新のオランダに0秒48差の2位で通過した。佐藤は「私のミス。2、3歩で、足が抜けてしまった」と反省。準決勝からはタイムではなく、対戦相手に負ければ終わりのトーナメント方式。ミスが命取りとなる勝負へ、スタートの練習には余念がなかった。

 世界新を出した3レースのうち、2回2位だったのは1回戦1位のオランダだった。タイム的には圧倒してきたが、今季初めての“黒星”。高木美は「ここで合わせてくるのはさすがだな」と改めて警戒心を強めた。個人種目優先の外国勢に対し、ソチ五輪でメダルゼロに終わった日本は男女とも団体追い抜きを強化してきた。オフシーズンは常に合宿を張り続け、年間300日近く同じ環境で技術を磨いてきた。全ては今日のためだ。

 準決勝の相手・カナダは今季W杯ランキング3位。メンバーは佐藤と菊池を入れ替えるプランもある。高木姉妹と菊池で臨んだW杯でも世界新をマークしており、不安要素はない。約1時間50分後の決勝を見据え、佐藤の脚を温存する作戦だ。勝ち上がれば、全員が個人種目メダリストの宿敵オランダと激突する可能性が高い。個の力では及ばないが、高木姉妹を中心とした抜群のチームワークで強国を迎え撃つ。

 1500メートル銀、1000メートル銅に輝いた高木美がここを制すれば日本の冬季五輪、また、日本人女性アスリートとして初めて1大会で3色のメダルを手にすることになる。5位だった初戦の3000メートルから尻上がりに状態を上げている若きリーダーは「パシュート(追い抜き)にかけてきた時間はどこの国よりも多い。自信を持って自分たちのレースをしたい」と力強く誓った。

 ▽日本選手の五輪1大会での金・銀・銅獲得 夏季では過去10例。初の達成者は1956年のメルボルン大会の体操で金1、銀3、銅1個を獲得した小野喬。68年のメキシコシティー大会では中山彰規が金メダル4個を含む計6個を獲得して達成した。その後も体操での達成者が出たが、16年リオデジャネイロ五輪では競泳の萩野公介(金1銀1銅1)が体操以外で初めて達成している。冬季および女子の達成者は出ていない。

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