上地 全豪も獲った!グランドスラム王手 残すはウィンブルドンのみ

[ 2017年1月29日 05:30 ]

全豪オープンテニス第13日 ( 2017年1月28日    オーストラリア・メルボルン )

全豪オープン車いすの部女子シングルスで初優勝しトロフィーを掲げる上地(AP)
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 車いす女子シングルス決勝で、世界ランキング2位の上地結衣(22=エイベックス)が大会初優勝を飾った。同1位でリオ・パラリンピック金メダルのイエスカ・グリフィユン(31=オランダ)に6―7、6―3、6―3のフルセットで勝利。4大大会シングルスで通算3度目の優勝を果たした。女子シングルス決勝はセリーナ・ウィリアムズ(35)がビーナス・ウィリアムズ(36=ともに米国)との姉妹対決を制し、歴代単独最多(68年オープン化以降)となる23度目の4大大会優勝を成し遂げた。

 車いすの上で跳びはねるようにガッツポーズを繰り返した。これまで2度の準優勝とあと少しで逃してきた全豪シングルスの頂点。5度目の挑戦、決勝では2時間18分の熱戦を乗り越え、ついに上地がたどり着いた。

 「やっと獲れたと思った。若干ウルッとくるものがあった」。だが、その感激は一瞬のものだったという。表彰式の準備を始めた時にはすでにこんなふうに考え始めていた。「最終セットの後半は相手のミスに助けられた。もう少し自分から攻撃を仕掛けるやり方があったんじゃないか」

 リオ金のグリフィユンとは過去13勝13敗と拮抗(きっこう)していた。バックのスライスを最大の武器とする世界1位。大事な場面ではフォアを打たせたり、スライスでおびき出したりといった計算通りの攻めもできた。だが、特に風下からのゲームでは「あまりに多くて気分的に落ちそうになった」と言うほどリターンエースを叩き込まれた。

 この2年間取り組んできたバックハンドのトップスピンを試合中に“打つ”ことはできた。だが「ただ打てただけでは決まらない」。いかにその球種を使って組み立てるのか。「一つずつ克服していかないと」とむしろ課題を強く感じた。

 前哨戦を含めて3週間のオーストラリア遠征。1週目に熱を出して体調を崩したが、尻上がりに調子を上げた。上地の活躍もあり、車いす女子テニスは20年東京五輪のメダル候補支援を目的とした日本スポーツ振興センターの「次世代ターゲットスポーツの育成・強化」事業に加わった。そのおかげで今遠征にはナショナルチームの馬場歩トレーナーが派遣された。全豪前も試合と並行して体幹トレや走り込みを行い、状態を整えられた。

 「今後も新しい選手が出てきた時に、その流れができていたらやりやすい」。上地がトップランナーとして走り続けることで競技の環境も整っていく。「ここであまり喜んでいても、目指すところはここじゃない」。世界1位奪還。そして20年東京へ。全豪初制覇も上地の中ではすでに通過点だった。

 上地の4大大会制覇は、シングルスでは14年の全仏と全米に続き3度目。ダブルスでもグランドスラムを達成するなど9度優勝しているが、4連覇を狙った今大会は決勝で敗れて単複2冠達成は逃した。唯一獲得できていないのはウィンブルドンのシングルスのみ。同大会は昨年初めてシングルスが開催され、上地は初戦敗退に終わった。

 ◆上地 結衣(かみじ・ゆい)1994年(平6)4月24日、兵庫県明石市生まれの22歳。両脚に障がいがあり、11歳で車いす生活になった。ソフトテニスをしていた姉の影響で競技を始め、14年に初めて世界ランキング1位となり、全仏オープン、全米オープンで優勝。16年リオデジャネイロ・パラリンピックで日本選手団旗手を務め、銅メダルを獲得した。1メートル43、45キロ。

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