佐藤大和弁護士「宝塚の劇団員は被害を明らかにすることができなったという環境があったのでは」

[ 2023年11月17日 13:06 ]

<宝塚歌劇団会見>会見を行う(左から)井場理事・制作部長、木場理事長、村上専務理事 (撮影・成瀬 徹)
Photo By スポニチ

 芸能分野の法務・労働問題が専門のレイ法律事務所・佐藤大和弁護士が17日、テレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」(月~金曜前10・25)に出演。宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の女性劇団員(25)が転落死した問題について言及した。

 宝塚歌劇団が14日に宝塚市内で会見、劇団が依頼した調査チームの報告書では、遺族側が訴えた上級生からのいじめやパワハラの存在を認めず、長時間労働を強いる環境があったと認めた。上級生からヘアアイロンでやけどをさせられたという遺族側の主張については、劇団診療所から「ヘアアイロンのやけどはよくあること」などと報告を受け、やけどをさせられたという客観的証拠もないため「事実であるかを判断することは困難」とした。「うそつき野郎」「やる気がない」などの暴言があったとされることにも「全て伝聞情報」としてパワハラの存在を否定した。遺族側がヘアアイロンの件で再検証を求めていることを問われた際、新理事長に就任予定の村上浩爾取締役(56)は「証拠となるものをお見せいただくようにお願いしたい」と答えた。ヒアリングは宙組生、OG、役員らに実施。66人いる宙組生のうち、4人は聞き取りを辞退。その理由は「差し控える」とした。兵庫県警は、女性が自殺した可能性が高いとみて捜査している。

 一方、遺族側は劇団側の調査結果について反論会見を開き、再検証を求めた。遺族の代理人弁護士は「失当(不当)であり、劇団と上級生の責任を否定する方向に誘導している」と断罪し、中でも、女性が上級生からへアアイロンを額に当てられやけどした問題について強く反論。ヒアリングに応じた女性の母親は、やけど当日の女性の額を「3センチも皮膚がめくれあがっている状態」と証言した。

 佐藤氏は「今回、宝塚側は長時間労働というところについては、遺族側が主張している内容と乖離(かいり)はあるんですけど、認めています。ということは、安全配慮違反というところについては認めているんです」とし、「でもこの問題について長年にわたり明らかにされてこなかった。この問題というのは、エンターテインメント業界全般に通じる問題です。これはまさにジャニーズ事務所の問題と一緒です」と指摘。

 そのうえで「この問題について、私はさらに掘り下げていくべきだと思っています。特に劇団員の方々は、宝塚の舞台以外に出演する機会という選択肢はないわけなんです。ということは、宝塚側の強いキャスティング権限、これをもとに活動されているわけですから、宝塚の劇団員は被害を明らかにすることができなったという環境があったのではないか。私は、この問題がエンタメ業界全体に通じる問題でありますので、この問題を解決していかなければならないと思っています」と自身の見解を述べた。

◆いのちの電話
【相談窓口】
「日本いのちの電話」
ナビダイヤル 0570(783)556
午前10時~午後10時
フリーダイヤル 0120(783)556
毎日:午後4時~同9時
毎月10日:午前8時~翌日午前8時

続きを表示

「美脚」特集記事

「STARTO ENTERTAINMENT」特集記事

2023年11月17日のニュース