KANさん“代名詞”ピアノ弾き語り、ダブルミリオン 震災、コロナ禍…日本を勇気づけ続けた「愛は勝つ」

[ 2023年11月17日 10:41 ]

KANさん「愛は勝つ」ジャケット写真(インターネットから)

 「愛は勝つ」が大ヒットした歌手のKAN(かん、本名木村和=きむら・かん)さんが死去したことが17日、分かった。61歳。福岡市出身。葬儀はすでに親族とごく近しい人たちで済ませている。死因は明らかにされていないが、今年3月に日本では数十例ほどしか症例がない「メッケル憩室がん」を公表し、闘病していた。

 KANさん最大のヒット「愛は勝つ」は、1990年9月にリリースされた。時代の寵児だった山田邦子の冠番組「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」の挿入歌として採用されたことで注目が集まり、大ヒット。最終的には200万枚超えのダブルミリオンを達成した。KANさんはこの曲で、翌年のNHK紅白歌合戦に初出場。ピアノの弾き語りで熱唱し、会場は大盛り上がりだった。

 「愛は勝つ」は♪心配ないからね―で始まり、最後の♪信じることさ、必ず最後に愛は勝つ―まで、ポジティブな歌詞が並ぶ応援ソング。バブル期のサラリーマンのカラオケの大定番となり、どこのカラオケボックスをのぞいても大合唱しているほどの人気だった。

 歌詞が持つメッセージ性から、2011年の東日本大震災の被災者支援ソングとしても歌われた。KANさんは、所属事務所の堀内孝雄、森高千里、つんく♂ら総勢131人でチャリティーソングとして録音。集まった義援金を寄付した。米国アーティストによる「ウィー・アー・ザ・ワールド」をほうふつさせる活動で、被災地を照らした。KANさんは当時「不安定な日々を送る皆さんにとって、音楽が今どのような存在であるかは想像しえませんが、少しでも早く安心できる状態に戻れるための原動力の一部となれればと思います」とコメントしていた。

 「愛は勝つ」は新型コロナウイルス感染拡大で沈む日本も勇気づけた。KANさんは再び、事務所のメンバー121人で同曲をリモートで歌い、動画を配信。コロナに立ち向かう医療従事者、不安を抱える国民へ「心配ないからね」「最後に愛は勝つ」とメッセージを送った。

 洋楽が大好きだったKANさんは「愛は勝つ」が生まれたきっかけについて「ビリー・ジョエルの“アップタウン・ガール”を意識したサウンドに、恋愛に悩んでいた先輩の気持ちをのせたら、いい感じの曲ができた」と語っていた。

 多くの人の青春の1ページにつづられてきた「愛は勝つ」。音楽関係者は「今度は私たちが、天国のKANさんに“心配ないからね、歌い続けていきますから”とメッセージを送る番ですね」と語った。

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