もう後戻りできないNHK 1370時間の“完全”五輪シフト

[ 2021年7月2日 08:00 ]

東京・渋谷区のNHK社屋
Photo By スポニチ

 開催まで21日となった東京五輪。NHKは、地上波やBS1など6波で計1370時間にも及ぶ過去最大の中継プランをこのほど発表した。新型コロナウイルスの感染者数が再び増加傾向となり、いまだ開催への逆風が吹く中、同局関係者は「何としても、このまま大会期間を乗り切るしかない。もう後戻りはできない」と覚悟を持って準備を進めている。

 発表されたタイムテーブルによると、地上波では定時ニュースを除き、常に五輪中継を実施。競技の開始前と終了後には見どころ紹介番組の「あさナビ」と「デイリーハイライト」を放送するなど完全な“五輪漬け”の毎日となる。

 2013年、東京での五輪開催が正式決定して以来、NHKは2020年に照準を合わせてきた。超高画質の4K・8K放送や、インターネット同時配信といった取り組みも全ては五輪を念頭に置いたものだった。

 そこに突然押し寄せてきたコロナ禍で大会は1年延期。昨年、当初予定していた7月の放送プランがぽっかりと空く形になったが、通常編成の番組に戻したり、ドラマの再放送などで乗り切った。なかでも大河の休止期間は過去の名作「独眼竜政宗」を放送するなどし話題を集めた。

 世間では五輪開催の是非が連日問われ続けているが、関係者は「仮に中止となっても過去のアーカイブ映像を放送するなどして乗り切りたい」と、昨年の経験を糧にスクランブル態勢にも抜かりはない。

 別の関係者は「開催されることが前提であることは変わりない。ここ2カ月はすべてをさしおいて五輪シフトでやってきた。ラストスパートで準備を進めているので是が非でもやって欲しい」と本音を漏らす。

 民放業界では在京5局が足並みをそろえて五輪中継に取り組む方針だ。各局が競技ごとに放映権を持つのではなく、日替わりで中継を担当する縦割りの編成。24日はテレビ朝日、26日はフジテレビといったように、日ごとに放映権を取得している。民放関係者は「仮に大会が中止になっても通常編成されている番組を放送すればよい。大きな混乱は生まれないでしょう」と語った。

 テレビ業界にとっては過去最大の五輪中継。アスリートたちの全力の闘いをお茶の間に届けることはNHKにとっても悲願で、コロナとのせめぎ合いはギリギリまで続く。

続きを表示

2021年7月2日のニュース