「麒麟がくる」松永久秀が信長に反旗を翻した理由 嫉妬?自己主張?吉田鋼太郎「何かを焦っていたのかも」

[ 2021年1月10日 16:30 ]

大河ドラマ「麒麟がくる」第40話。松永久秀(吉田鋼太郎)(C)NHK
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 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」(日曜後8・00)で俳優の吉田鋼太郎(61)が熱演してきた戦国大名・松永久秀は10日、第40話「松永久秀の平蜘蛛(ひらぐも)」で最期を迎える。注目は、茶器とともに爆死したと言われる散り様。吉田は「松永の最期については、これまで1年半以上演じてきた吉田鋼太郎として、非常に納得のいく描かれ方でした。素晴らしい死に際の台本を頂いたので、自分としても思い残すことなく演じることができたと思っています」と手応えを示し「是非、楽しみにしていただきたいです!」とアピールしている。名作ゲームになぞらえ、松永は初回登場時からSNS上で「戦国のボンバーマン」と呼ばれ、そのラストに熱視線が注がれていた。

 俳優の長谷川博己(43)が主演を務める大河ドラマ59作目。第29作「太平記」(1991年)を手掛けた名手・池端俊策氏(75)のオリジナル脚本で、智将・明智光秀を大河初の主役に据え、その謎めいた半生を描く。

 吉田が演じてきた松永久秀は、主に畿内を中心に勢力を広めた戦国武将。軍事政治両面において力を発揮し、したたかで荒々しい生き方が若き光秀に大きな影響を与えた。美濃の斎藤道三(本木雅弘)らと並ぶ「戦国三大梟雄(きょうゆう)」の1人。その残忍さ、非道さは後世に伝わる。

 第40話は、大坂本願寺攻めの最前線から突如、松永(吉田)が逃亡を図り、織田方に衝撃を与える。光秀(長谷川)は伊呂波太夫(尾野真千子)の導きで松永と会い、今、離反する理由を問いただす。松永は筒井順慶(駿河太郎)に大和の守護の座を与える信長(染谷将太)の家筋を重んじる態度が許せない。自分に大和を任せる本願寺側に付くと明言する…という展開。

 第24話(昨年9月20日)には、将軍・足利義輝(向井理)が討たれた後、光秀から「何故、将軍をお討ちになった。松永様は京から追い出すだけだとおっしゃった。義輝様は決して討たぬと」と責められた松永が「わしの読みが甘かった。息子たちがしでかしたことゆえ、わしも責めを負わねばならんと思うておる。わしが憎いか?これ(鉄砲)でわしを撃て。弾はこめてある」と鉄砲を手渡すシーンもあった。

 「あれは愛情の裏返しで、十兵衛(光秀)を信頼しているからこそ、ある種の賭けみたいなことをやったんだと思います。久秀は十兵衛との絡みがほとんどですし、光秀ととても親密な関係性ですが、最後は信長に反旗を翻し、あれほど信頼している光秀と敵対関係になってしまう…その悲しさは最後まで持ち続けていたいと思います」

 松永が信長に歯向かった理由については、こう解釈した。

 「これは台本にも書かれていますが、久秀は、信長とかつての自分の君主・三好長慶(山路和弘)とを比べているんです。リベラルだった長慶こそが真に天下人たる人物で、今の信長は完全に冷静さを欠いている。比叡山を焼き討ちするなんて、さすがに人の道に外れすぎているのではないかと。ですが、同時に、そんな信長に嫉妬している部分もあるんです。自分は信長のようにはなれない、だったら最後までとことん逆らってやろう。信長に反旗を翻したのは、ある意味、松永の自己主張というか、松永のアイデンティティーだったかもしれません。直接の原因は、信長が大和国の守護を筒井順慶に指名したことです。松永はこれまで『大和が好き』と散々言ってますから、その大和一国さえも手に入らないなら信長に仕える意味がないと謀反を決意したわけです。とはいえ、久秀は信長の直属の部下ではないのだから、国をもらえる可能性があっただろうか、とも思います。松永の大きすぎる夢ではなかったかという気もします。『ちょっと松永さん、それは欲張りすぎなんじゃないの?』って。もしかしたら松永自身も、歳を重ねる中で何かを焦っていたのかもしれないですね」

 【平蜘蛛(ひらぐも)】松永が所有し、天下一の名物と謳われる茶器。殊の外、信長が欲しがった。正式名称は「古天明平蜘蛛(こてんみょうひらぐも)」。低く平らな形状が、蜘蛛がはいつくばっている形に見えることが名前の由来とされる。当時の武将にとって、茶の湯は欠かせない教養の一つ。名物茶器を所有することが権力者かつ文化人というアピールになり、持っていない者は権力者としても文化的とはみなされなかった。特に信長には「天下の名物は天下人の元にあるべきだと」いう考えがあり、降伏する武将が名物茶器を持っていれば、命の代償として献上させていたとも言われる(番組公式サイトから)。

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2021年1月10日のニュース