渡辺王将が3連覇か、永瀬王座が新王将か――王将戦7番勝負、10日掛川でいざ開幕!

[ 2021年1月10日 05:30 ]

掛川城を背に徳川家康に扮した渡辺明王将(右)と山内一豊に扮した挑戦者の永瀬拓矢王座(撮影・西尾 大助)
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 将棋の第70期王将戦7番勝負は10日、静岡県掛川市の掛川城二の丸茶室での第1局で開幕する。記念すべき70期は渡辺明王将(36)=名人、棋王含む3冠=に永瀬拓矢王座(28)が初挑戦する好カード。9日には同所で両者による検分が行われた。対局は10日午前9時に開始。持ち時間は各8時間の2日制で、第1日は午後6時に指し掛けとなる。先後は振り駒により決まる。

 検分と揮毫(きごう)を終えた渡辺は、きりりと表情を引き締めて言った。「いよいよ王将戦が始まる。今後タイトル戦(王将、棋王、名人)が続いていくので、シーズンインという心境です」

 防衛を期す渡辺にとって今7番勝負は棋士人生におけるメルクマール(中間目標)の意味を濃く帯びている。シリーズを制すれば通算5期目の王将位。谷川浩司九段(58)、久保利明九段(45)を抜いて単独4位に躍り出る。加えて王将戦での3連覇は故大山康晴15世名人、中原誠16世名人(73)、谷川そして羽生善治九段(50)の4人しか達成していない。渡辺は王将戦史に5人目としてその名を刻むことになる。

 現在タイトル獲得数は通算26期。もう1期を追加すると谷川に並ぶ歴代4位だ。こちらも防衛を狙う2月開幕の棋王戦5番勝負(対糸谷哲郎八段=32)と合わせたダブルヘッダーをものにすれば、一気に単独4位となる可能性を秘めている。「谷川先生の27期というのは、自分が20期を獲得したあたりから意識はしてきました」。プレーヤーとして脂の乗り切った時期にいる渡辺には決して難業ではないだろう。

 対する永瀬は「緊張感を持って過ごしてきました」と心境を明かす。対局室検分では室内の照明が駒台に反射し、自身の視線に飛び込むことから改良を申し出るなど、慎重にチェックを重ねた。

 今や渡辺、豊島将之竜王(30)=叡王との2冠、藤井聡太2冠(18)=王位、棋聖=と並ぶ棋界「四天王」の一人。戴冠歴は3で、段位は最高位の九段だ。強豪であるのは間違いないが、過去に出場した6度のタイトル戦(叡王戦2、王座戦2、棋王戦1、棋聖戦1)は全て1日制。8時間を持ち、第1日終了時には封じ手の駆け引きが必須の2日制は今回が初体験となる。

 「不安というより、初めてだから分からない。でも慣れていくと思います」。70期の節目を迎えた王将戦。約3カ月に及ぶ熱い戦いが今年も始まる。(我満 晴朗)

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