岡江さん 悲しすぎる帰宅 感染防止で遺骨が玄関前に置かれ…大和田獏「こんな形で…残念で悔しくて」

[ 2020年4月25日 05:30 ]

遺骨を抱え、あいさつする大和田獏
Photo By 代表撮影

 新型コロナウイルスによる肺炎のため23日に63歳で急死した女優岡江久美子(おかえ・くみこ、本名大和田久美子=おおわだ・くみこ)さんが24日、荼毘(だび)に付された。感染予防の観点から夫で俳優の大和田獏(69)ら家族は立ち会えず、たった一人の旅立ち。大和田は葬儀業者から自宅に届けられた遺骨を手に「こんな形の帰宅は悔しい」と大きな悲しみを口にした。

 あまりにも悲しい無言の帰宅だった。

 閑静な住宅街にある岡江さんの自宅。軽自動車から降りた葬儀業者が門を開け、縁取りが黒リボンの白い袋に入った遺骨とユリの花束を玄関前に置いて立ち去った。

 感染予防のため、家で待っていた大和田と対面せずに届ける形となった。約1分間、洋風のおしゃれな家の前にポツンと取り残された遺骨。その異様な光景に何度もカメラのストロボがたかれる中、憔悴(しょうすい)した表情で眼鏡にマスクをした大和田が姿を現し、大事そうに遺骨を抱えた。報道陣に歩み寄ると「こんな形でしか対応できないことを申し訳なく思います」と頭を下げ「久美子は今、帰ってまいりました」と語り始めた。

 「こんな形での帰宅は本当に残念で悔しくて悲しいです。どうか皆さんもくれぐれもお気を付けください。それが残された家族の願いです」

 今にも涙がこぼれ落ちそうだった。ドラマの共演で出会い、NHKのクイズ番組「連想ゲーム」で仲を深め、1983年に結婚した2人。食べることが好きで、時間が合えば一緒に台所に立ち、お互いに料理の腕を振るうなど、最後までおしどり夫婦を貫いた。「本当に仲が良かった」と多くの知人は声をそろえる。

 そんな愛妻が発熱からわずか3日で容体が急変して入院し、新型コロナウイルス感染症を調べるPCR検査で陽性と判明。感染予防のため、見舞いにも行けず、声も聞けなかった。岡江さんの死後、病院のガラス越しに顔を見ることはできたが、火葬には立ち会えなかった。無念さと悔しさは募るばかりだ。

 知人によると、岡江さんが発熱した3日、大和田は地方公演の準備で東京を離れていた。「熱があってせきが出る」と連絡があり、心配していた。その後、公演の中止が決まり帰宅。6日朝、岡江さんの異変に気付き、慌てて救急車を呼んだ。この時、呼吸困難のような症状が出ていたようだ。周囲は「大和田さんも急変にかなり驚いたが、まさか帰ってくることができなくなるとは思っていなかっただろう」と語る。

 関係者によると、感染拡大の今、葬儀・告別式の日取りなどの話し合いは全く行われていない。報道陣に一礼して家に戻った大和田の背中には拭い切れない寂しさが漂っていた。

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