羽生九段、最多1434勝達成も向上心 大山15世名人の領域には「まだまだ行ってない」

[ 2019年6月4日 21:47 ]

<王位戦挑戦者決定リーグ>1434勝を達成し、会見する羽生九段(撮影・吉田 剛)
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 将棋の羽生善治九段(48)4日、東京都渋谷区の将棋会館で指された王位戦挑戦者決定リーグ・プレーオフで永瀬拓矢叡王(26)を下し、通算勝利を1434として歴代新記録をマークした。

 ――あらためて歴代最多勝達成の心境を。

 今年に入ってから記録に近づいていくということは気がついていたので、一つの目標として今年はそれを目指してやっていこうと思っていた。大山先生の時代とは棋戦の数も時代背景もかなり違うので、比較することは難しいが、数字の上でひとつ先に行けたということは棋士として大変ありがたいこと。

 ――王位戦挑戦まであと1勝。タイトル獲得100期に向けての気持ちは。

 最近は若手で強い人がたくさんいる状況。タイトル戦にでるのもなかなか容易なことではない。今回の王位戦はここまで進むことが出来たので、また2日後の対局に集中して、また檜舞台にでれるように頑張っていこうと。

 ――大山15世名人の勝利数は上回った。トータル的にはどのあたりにいると感じるか。

 自分が10代の時に大山先生が晩年で顔を合わせることがあったが、60代後半でも棋譜で見た強さと変わらない迫力があった。私自身はまだまだ領域というか、そういうところまでまだまだ行ってないと思う。まだまだ活躍しなければと思っているし、どれぐらいまで来たかといえば、実際にそのような状態になれば、実感できるのかも。今のところ手応えはあまり…。

 ――勝負に対する執念、執着力はどこから出るのか。

 将棋は1手間違えるとすぐに逆転するもの。形勢がいいときも悪いときも最善を尽くさねばならない。チャンスを待つ姿勢は大事にしている。毎局毎局根気よくやっていくことは心がけている。それが自分自身の強さになっているかは分からない。

 ――今にして思うターニングポイントはあるか。

 15歳でデビューして、私はあまり記録係はやっていなかったので、プロ棋士の世界をよく分かっていないところがあった。すごく個性的で迫力ある先輩方がいるなかで、大変な世界に入ってしまったなというのが最初の出発点。

 ――将棋の本質はまだ見えていないか。

 ここ1、2年の実感で、もともとも将棋はとても難ししいのは変わらないが、難易度が高い状況を迎えている。間違いやすい局面に出会うことが多くなっているのは流れとしてある。いろいろな可能性があるし、簡単には終わらない側面もあると思っている。

 ――ここまで勝ってきた要因は。

 30年以上やっているので全ての対局を覚えているわけではないが、負けることも結構ある。反省と修正はしないといけないが、終わったところからはきれいさっぱり忘れて次に臨んでいく。長く続けていくには大切なことかなと。

 ――モチベーションになっているものは?

 一局指せば新しい発見があるのは一つのモチベーション。将棋そのものを解明しようとかはあまり思っていないし、限りなく不可能なこと。自分なりに少しでも前に進めたらいいなという気持ちはある。

 ――これからの棋士人生はどう歩んでいきたいか。

 ここ最近の方がやるべき事が多いというか、非常に若くて強い人がたくさんいる状況なので、そういう意味ではここ最近の方が課題はたくさんある。そこが一つ前に進んでいく原動力になればいいなと思う。

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