大混戦B級2組への昇級争い 杉本八段が一番乗り「非常に幸運だった」!弟子の藤井七段は昇級ならず

[ 2019年3月5日 22:25 ]

東京都内の将棋会館で千葉幸生七段と対局中の杉本昌隆七段
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 将棋の第77期名人戦順位戦C級1組の最終対局が5日行われ、東京・将棋会館で杉本昌隆八段(50)が千葉幸生七段(40)に勝ち、自力でB級2組への昇級を決めた。

 杉本八段は4期ぶりのB級2組への復帰。

 2枠をかけた昇級争いは大混戦となり、最終戦を前に8勝1敗で4人が並ぶ状況となっていた。杉本の弟子の藤井聡太七段(16)は、都成竜馬五段(29)との対戦が続いているが、船江恒平六段(31)が勝ったため、32年ぶりの師弟同時昇級はなくなった。

【杉本八段と一問一答】

 ――B級2組への昇級が決まった。

 「今回、藤井七段と昇級争いをするのが目標でした。(自分の)昇級は非常に幸運だったと思います」

 ――藤井七段を含め、1敗で4人が並んでいる状況。どんな気持ちで対局に臨んだ?

 「順位戦というのは実力のある人が上がるべきだと思っています。果たして自分にその資格があるのかなという葛藤を抱えながらの対局でした。今期の対局は自分にとって失ったものを取り返すための対局でした。昇級を諦めかけていた時期もありましたけど、諦めなければそれなりの結果が出せるということが証明できてよかったです」

 ――50歳での昇級については?

 「50歳の誕生日を迎えたときは、ちょっとあまりうれしくはなかったんですが、今回これだけ注目していただけたので、それは良かったのかなと思いました。若手が非常に強いですが、気持ちの上では今回は負けないつもりでと思っていました」

 ――次期はB級2組の戦いになる。

 「他の結果を見てみないと言えないところもありますが、ちょっとまだ実感が湧かない。3年前にいたクラスでもありますので、次はもう一度昇級争いができるような成績を残したいです」

 ――船江六段が勝ったことで、藤井七段は昇級できなかった。

 「今期は藤井七段が同じクラスにいたから自分がここまで昇級を争えたということはありました。一緒に昇級するのは夢でしたけど、自分だけ上がってしまって、ちょっと藤井七段に申し訳ないという気がします」

 ――今局については?

 「9回戦の船江戦でちょっと入れ込みすぎたところもあったので、今回は自然体で指そうと思ってました。きのう、全然寝れなくて(笑い)2時間くらいしか寝てないんですが。調整に失敗したなと思いながら指していましたけど、将棋の内容そのものは前にでる将棋が指せたかなと思います」

 ――前局は和服で、今回はスーツだった。

 「前回は藤井七段の昇級をアシストする可能性もあり、自分だけの将棋ではなかったので、気合を入れて和服というのはありました。今回は自分だけのための対局だったので、スーツでいこうかなと始めから決めていました」

 ――今朝はかなり怖い顔をしていたが。

 「睡眠不足でして(笑い)あまりにも寝れなくて。12時にベッドに入って5時過ぎまで寝れなかった。ちょっと体調不良というのもあって顔がこわばっていたのではかなと。研究しだしたら眠れなくなって、気がついたら夜明けまで眠ることができず、調整としては最悪に近いなと思いました」

 ――藤井七段に今、声を掛けるとしたら。

 「一足先に自分が上がってしまいましたけど、次にB級でもう一度一緒に昇級争いをしたいので、先に待っていると言いたいです」

 ――昇級について事前に藤井七段と何か話した?

 「う〜ん、そんなに話さなかったですね。他の人に頑張ってもらわないといけないね、というようなことは言いましたが。それくらいです」

 ――自身は昇級できた一方で藤井の昇級は阻んでしまったことについては?

 「棋士としては今日は最高の一日ですけど、師匠としては非常に複雑な思いがあります。ただ、藤井七段は必ず近いうちに昇級してくるのは間違いない。もう一度、Bクラスでともに戦える日を待っています」

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