「イッテQ」やらせ疑惑 混迷招いた日テレの“後手後手”対応

[ 2018年12月28日 09:30 ]

「世界の果てまでイッテQ!」やらせ疑惑発覚後、初の公の場で頭を下げる宮川大輔(撮影・郡司 修)
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 【激動2018 芸能(15)】お祭り企画のやらせ疑惑騒動が勃発した日本テレビの「世界の果てまでイッテQ!」はモヤモヤしたまま年を越すことになった。関係者によると、問題があるかどうか放送倫理・番組向上機構(BPO)が現在も討議中。早ければ来年1月11日にも出される結果次第で存続危機が現実のものとなる。

 日テレの高視聴率の屋台骨を支える番組だけに対応が“後手後手”になったことが混迷の始まりだ。週刊誌報道で疑惑が浮上したのは11月。5月放送のラオスの「橋祭り」で存在しない祭りをでっち上げたというもので、昨年2月放送のタイの祭りでも疑惑が持ち上がった。

 橋祭りは全長25メートルの細い板を自転車で渡る競技。同局は当初、セットの設置や企画提案などを否定。その後、タイの問題が浮上するとやらせ疑惑は否定しつつ「番組側の意向でコーディネート会社が主催者に提案した」と一部を認めて謝罪するなど歯切れの悪い対応が続いた。

 今回の騒動で矢面に立たされ“被害者”となったのは、お祭り企画に挑戦し続けた宮川大輔(46)だ。関係者によると、番組側から経緯説明があった際に涙を浮かべ「やましいことがないなら最初から全部明かすべき。これまで命がけでやってきた。もしお祭りのコーナーができなくなるようなら番組を降ります」と訴えたという。同企画は現在、休止中で再開のメドは立っていない。局側は宮川に迷惑をかけたことで水面下で新番組などを検討しているとの情報もある。

 別の制作スタッフは「やらせではないにしても、過度の演出があったことを日テレが最初から認めていれば問題もここまで大きくならなかったのでは」と指摘した。

 各局、制作費の削減で海外ロケが減りつつある中、平均視聴率15%を超える「イッテQ」は海外の文化を紹介し、卓越した企画力も相まって数字を伸ばすことに成功。制作予算も増加した。通常のバラエティーは4、5班の構成だが、異例の6班態勢でコンテンツを送り出している。

 歯車がガッチリかみ合った番組は、出演者の知名度アップや好感度にもつながっている。イッテQの顔でもある内村光良(54)と出川哲朗(54)が今年のNHK紅白歌合戦に起用されたのも、その影響が大きい。

 BPOは今月に入り、日テレ側にバラエティーの演出に対する考え方などについて追加報告を求めた。海外ロケが主軸の番組で、その根幹を揺るがす問題だけに慎重に討議を進めているとみられる。

 ホームページにはファンからの「どうか、またお祭り男が見られますように!」などの声が寄せられている。日曜日のお茶の間の楽しみが「ヤバイよ!ヤバイよ!」とならないことを願うばかりだ。

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2018年12月28日のニュース