エンゼルス・大谷翔平 奇跡呼ぶ33号 93年ぶり大逆転劇 トレード話にはサヨナラできず…

[ 2023年7月17日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス13ー12アストロズ ( 2023年7月15日    アナハイム )

大谷翔平
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 エンゼルスの大谷翔平投手(29)は15日(日本時間16日)、アストロズ戦に「2番・DH」で出場し、3点を追う9回先頭で後半戦初本塁打となる33号ソロ。大谷の一発からつながった打線は5安打などで同点とし、タイブレークの延長10回に敵失など無安打でサヨナラ勝ちした。7回以降に最大6点差を追いつき、再び3点差以上から逆転勝ちするのは93年ぶりの歴史的劇勝。連敗を6で止めたが、大谷の移籍報道は過熱する一方だ。

 ムスタカスは、興奮気味だった。試合後の歓喜に沸くクラブハウス。「僕らに前進する勢いを与えてくれた。ファンタスティックな勝利だ!」。7回に同点3ランを放った34歳のベテランや、ネトやウォードがハイタッチを繰り返した。ただ、普段ならナインと勝利の余韻に浸る大谷は、どこか淡々としたまま。白いTシャツ、短パン、ビーチサンダルに着替え、試合終了25分後には、水原一平通訳とともに早々と球場を後にした。

 歴史的逆転勝利を引き寄せる一発は、大谷だった。3点を追う9回先頭、ア軍の守護神プレスリーのスライダーを強振した。中堅左の球場名物「ロックパイル」の麓への両リーグトップ独走の33号ソロ。42打者連続無安打だった右腕からの一発は、直前に水原通訳がバットを握り締めてパワーを注入し生まれた。ネクストバッターズサークルにいた3番ウォードが「打球の後ろから煙が見えた。信じられない」と驚いた一撃。そのウォードからの3連打など5安打と暴投などで追いつき、タイブレークの延長戦でサヨナラ勝利した。

 7回は3―9と最大6点差の劣勢から、ムスタカスの3ランなど6得点して同点にした。1930年のフィリーズ以来となる終盤2度の劣勢からの歴史的逆転勝利。だが、9年ぶりのPS進出への苦しい状況は変わらない。借金1でワイルドカード圏内まで5ゲーム差。8月1日(日本時間同2日)のトレード期限を前に、大谷の移籍報道は止まらない。

 この日、スポーツサイト「ジ・アスレチック」の看板記者ケン・ローゼンタール氏が、エ軍前監督のジョー・マドン氏がシーズン中の移籍は問題ないとしていると報じた。起用、調整法などについてマドン氏が「本人が移籍先に何が必要か伝えられる。100%、困らない。シーズン中でも(移籍は)問題なくアジャストできる」と後押しするようなコメントを紹介。SNSでは「大谷が今週末にアート・モレノ・オーナーと面談予定で、契約延長交渉がまとまらなければ数週間以内にトレード」というフェイクニュースも拡散された。

 サヨナラ勝利の歓喜の輪でも大谷の笑顔はどこか控えめだった。火のないところに煙は立たない。ウォードが見たという「煙」は、二刀流を巡ってくすぶり続ける周囲の騒がしさを表すようだった。(柳原 直之)

 ≪フ軍が最大8点差逆転≫フ軍は先攻のパ軍に3回に6点、7回に3点を許すなど2―10と最大8点差をつけられた。だが、直後の7回に3点を返し、9回はC・クレインの3ランを含む5安打に2つの敵失が絡んで5得点し10―10の同点。延長10回、パ軍のG・グランサムに3ランを浴びたが、その裏の無死満塁から連続押し出し四球で1点差に迫り、1死満塁からF・ブリケルが中前に2点サヨナラ打を放った。ちなみに同年のフ軍は52勝102敗で1地区制のリーグ最下位、8位だった。

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