【スポニチスカウト部(2)】能代松陽・森岡大智 MAX144キロ 強気の右腕は“練習の虫”

[ 2023年2月14日 05:00 ]

直球を武器に選抜に挑む能代松陽・森岡

 今秋のドラフト候補選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第2回は初の選抜出場を決めた能代松陽(秋田)の森岡大智投手。恵まれた体から投げ下ろす140キロ台中盤の直球が持ち味で、徐々にスカウトも注目。今春選抜での飛躍に期待がかかる。 ドラフト速報

 高校入学時は夢のまた夢だと思っていたプロの世界が、手の届くところまで来ている。1メートル85、83キロのがっしりとした体から投げ下ろす直球は、入学時と比べて20キロ以上アップし、最速144キロを計測。全くの無名だったが、徐々に名が知れ渡り今秋のドラフト候補とまで言われるようになった。森岡は「この春が勝負だと思っている。まずはチームの勝利を第一に考えて投げたい」と、選抜での躍進を思い描く。

 工藤明監督は「入学前から決して凄いわけではなかったが、よく自分で練習する子だった」とここまでの成長を振り返る。入学時の最速は120キロ。体も細かったが、食トレや練習後のウエートトレ、走り込みを毎日のように繰り返し、体重は昨夏と比べ約10キロ増えた。球速とともに、プロから注目されるまでとなった。

 より高い意識を持つきっかけとなった試合がある。2番手として登板し、4回5失点と悔いが残った昨夏の甲子園1回戦。「全国レベルを体感でき、上のレベルでやるにはもっと直球を磨かないと通用しないと思った」。その後は直球の質にこだわり続け、強気に真っすぐで押す投球スタイルを貫いて、昨秋は東北大会4強入りに貢献した。

 ピンチでは憧れの楽天・田中将を意識しながら、強気を貫いている。「ギアの上げ方や打者に向かっていく姿勢はお手本になる」。ピンチを切り抜けたら思わずガッツポーズが出てしまうと言い「田中さんのように流れを変えられたりチームを勝たせられるピッチャーになりたい」と理想の投手像を掲げる。

 大阪桐蔭・前田悠伍、専大松戸・平野大地、仙台育英・高橋煌稀ら全国区の同世代の投手と比べれば、まだ知名度は低いかもしれないが「選抜で名を売り、高校日本代表入りするぐらいになってほしい」と工藤監督。森岡も「今持っている自分の力を最大限に出したい」と、2度目の甲子園のマウンドを最大のアピールの場にする。

 ☆球歴 小3から野球を始め、合川小、合川中でプレー。能代松陽では2年秋から背番号1を背負った。憧れの選手は楽天・田中将。

 ≪人より熊が多い町!?北秋田市のスターに≫合川中時代は、軟式野球部に所属していた森岡。同級生部員は10人ほどだったが、今でも野球を続けているのは森岡を含めて2人。もう一人は軟式のため、「自分がみんなを代表して甲子園へ行けたら」と地元の期待も背負い選抜に挑む。生まれ育った秋田県北秋田市は人口減少が激しく、人より熊が多いと称されることもあるという。「そんな環境でもこんな選手が出るんだぞと。地域のスターになり、野球人口も増えてほしい」と期待するのが工藤監督。森岡も「これまで支えてもらった地域の人にもいいところを見せられれば」と、甲子園での活躍を誓った。

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