ダルビッシュ パドレスと42歳まで契約延長 6年141億4800万円 35歳以上投手前例なき長期契約

[ 2023年2月11日 04:00 ]

パドレスと新たに6年契約を結んだダルビッシュ
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 パドレスは9日(日本時間10日)、ダルビッシュ有投手(36)と新たな6年契約を結んだと発表した。42歳で迎える28年シーズンまでで、総額1億800万ドル(約141億4800万円)。米スポーティング・ニューズによると、35歳以上の投手が6年以上の長期契約を結ぶのは初めて。異例の契約延長となり、野茂英雄の実働12年を大幅更新し、日本投手最長となる実働16年目までが保証された。

 ダルビッシュは今季が6年契約最終年でオフにFAとなるため、契約延長への動きは注目されていた。新たな契約は今季からの6年間で、42歳で迎える28年シーズンまで保証された。総額1億800万ドルで、1年あたりの平均年俸は1800万ドル(約23億5800万円)。内訳では今季年俸がエンゼルス・大谷と並ぶ日本選手歴代最高俸の3000万ドル(約39億3000万円)で、2年目以降は低く設定された。

 パドレスには賭けとも映る、ベテラン投手との異例の長期契約。米スポーティング・ニューズによると、35歳以上の投手が6年以上の契約を結ぶのは初めて。交渉をまとめたジョエル・ウルフ代理人は本紙の取材に「前例はない。彼はしっかり自分の体に気を配り、一人の人間としても敬意を払われる存在。全ての投手のお手本になっている」と球界の常識を覆す契約延長を実現させたストイックさと人間性を称えた。

 昨年は5年ぶり2桁となる自己最多タイの16勝。リーグ6位の194回2/3を投げ抜いた。人一倍豊富な探究心でトレーニングから投球術まで幅広く研さんを重ね、円熟味は増すばかり。昨季の直球平均球速は95マイル(約153キロ)で、キャリアのほとんどのシーズンを上回り衰えは感じさせない。昨夏のソトら大型トレードに加え、このオフもボガーツを11年総額2億8000万ドル(約367億円)で獲得など、大型補強を進めるパドレス。今回の契約延長はその鍵でもあり、世界一への本気度の表れだ。

 「新たに契約を結びました!ファン、球団、チームメート、スタッフの方々のサポートに感謝しています」とツイートしたダルビッシュ。侍ジャパン合流前に足元を固めた。ここまで米実働10年。野茂英雄の実働12年という日本投手最長を更新する、同16年目までが保証された。メジャー95勝、日米通算188勝の右腕に、野茂の持つ日本投手メジャー最多123勝や、前人未到の日米通算250勝という金字塔も見えてきた。

 ▽ベテラン投手との主な契約 このオフはメッツが20日に40歳を迎えるバーランダーと2年総額8670万ドル(約114億円)で契約。レンジャーズは34歳のデグロムと5年総額1億8500万ドル(約242億円)で契約を結んだ。また昨オフにはメッツが当時37歳のシャーザーを3年総額1億3000万ドル(約170億円)で獲得した。いずれもサイ・ヤング賞を複数回受賞した殿堂級投手たち。平均年俸では劣るが、比較しても36歳での6年契約という保証期間が異例と分かる。

 ≪「ぜいたく税」に配慮 平均年俸は抑え目≫今回の契約延長には「ぜいたく税」の課税に対して、ダルビッシュサイドからチームへの配慮もにじむ。当初は今季後FAとなった場合、年俸3000万ドル(約39億3000万円)超での2~3年契約が相場とみられていた。チームの年俸総額が基準額を超えると課される「ぜいたく税」は、所属選手の平均年俸の合計で年俸総額を求める。6年の長期保証の代わりに、ダルビッシュの平均年俸は1800万ドルに抑えられた。想定相場より1000万ドル(約13億1000万円)以上安い平均年俸となり、パ軍のさらなる補強への足かせにはならず、両者の思惑が一致した。

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