日系選手初の日本代表ヌートバーの母・久美子さんが語る愛息の素顔「“巌となりて”くらいまでは歌えます」

[ 2023年2月11日 05:25 ]

母の久美子さんと写真に納まる米大リーグ、カージナルスのラーズ・ヌートバー(家族提供・共同)
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 日系選手初の日本代表入りを果たして3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場するカージナルスのラーズ・ヌートバー外野手(25)の母・久美子さん(57)が、米カリフォルニア州エルセグンドの自宅で本紙の単独インタビューに応じた。自らを「Samurai Japan」と呼ぶ愛息の素顔や、2人で練習中の「君が代」の現状など、話題は多岐にわたった。(聞き手・笹田 幸嗣通信員)

  ――ヌートバー選手の日本代表選出、おめでとうございます。
 「ありがとうございます。すごく嬉しくて、夢のようで本当にまだ信じられないです。日本にいる友達や妹からは日本の様子を伝えられ“うちの町内はお祭り騒ぎになっているよ”って言われました。感無量、言葉にならない。主人は“涙が出ちゃう”と」。

 ――代表入りのオファーはいつもらったか。
 「10月に噂を聞いて“何を寝ぼけたことを言っているの?侍ジャパンだよ?”という感じで話をしていました。それが、オフになってから一平さん(水原通訳)を通して私のパスポート状況を聞かれて、“なんで聞いてくるのかな?もしかして”と思って。パスポート情報を聞かれた後、一平さんを通じて栗山監督から打診があったのが、12月14日。主人の誕生日で“誕生日プレゼントだ”とすごく喜びました」

 ――その後、栗山監督と直接、話す機会もあった。
 「昨年12月29日か30日に栗山監督と一平さんとZoomをするとラーズから聞き、私は画面に映らない状態でラーズの隣に座りました。“私には絶対ふらないでね。化粧もしていないから”と伝え、彼も“分かった”と答えていましたが…。会話が終わってから案の定“お母さんがいるので代わります”と言ってきたので“でた!”と思いながら(栗山監督と水原通訳に)ご挨拶させていただきました」

 ――1月15日の本人の会見では言動や振る舞いに日本人らしさを感じた。
 「子供の頃から伸び伸びと何でもやらせた一方、時間厳守、友達を大事にするなど、ルールは守らせました。私も日本で学生時代にスポーツ(ソフトボール)をしていたので先輩、後輩の上下関係の厳しさは分かっていたので、目上の人に対しての接し方、挨拶、礼儀の重要性も自然に伝えていました」

 ――会見では「君が代」の練習もしていると話していた。
 「栗山監督からオファーをもらってから練習をしています。私が“君が代は”と歌うと、ラーズが繰り返して、“千代に八千代に”とまた私が歌って、ラーズがまた繰り返す。今は『巌(いわお)となりて』くらいまでは歌えます。もうちょっとですね。6、5割くらいまでは大丈夫。『KIMIGAYO―WA』って書いたノートがあって、それを読みながら一緒に練習しています」。

 ――このオフの過ごし方は。
 「オフは基本的にここ(自宅のあるエルセグンド)で練習をしています。(チームの同僚で米国代表の)ノーラン(アレナド)の練習場で打たせてもらったりしていました。泊まるところは別ですが、食事はいつもここ(自宅)で食べました。いつも朝にテレビ電話がかかってきて、“Samurai Japan is coming.(侍ジャパンがやってくるよ)朝ごはん用意しておいてね”と。何でも侍ジャパンをつけて“お母さん、侍ジャパンのお腹をこんなに空かせていいの?”なんて言っていましたよ(笑い)」

 ――3月の大会本番の観戦予定は。
 「もう飛行機のチケットを買いました。3月(9日)の初戦から行きます」

 ――WBCでどんなプレーを見せてくれるか楽しみ。
 「母としてはプレッシャーと怖さを感じていますが、本人は楽しみで仕方ない。小さい時のクリスマスの前日みたいな気持ちでいるんだと思います。早く日本代表のみんなと仲良くなりたいと、本当に楽しみにしていると思います」

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