阪神・佐藤輝に“脱力のススメ” 鳥谷臨時コーチ「正しい自分の動きを」三塁フルイニング出場へ極意伝授

[ 2023年2月11日 05:20 ]

阪神・佐藤輝の守備を見守る鳥谷臨時コーチ(撮影・岸 良祐) 
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 阪神の佐藤輝明内野手(23)が、沖縄・宜野座キャンプ第3クール第2日の10日、鳥谷敬臨時コーチ(41)から、守備での脱力のススメを説かれた。ゴールデングラブ賞を5度受賞し、プロ野球歴代5位の667試合連続フルイニング出場をした偉大なOBの教えに感銘。守備力アップで岡田彰布監督(65)の「俺に守備固めを出させるな」という期待に応え、初の全試合フルイニング出場を狙う。

 肩に力が入っていては、うまくいくものもうまくいかない。佐藤輝が鳥谷臨時コーチから守備のコツを伝授された。

 「とにかく上体を脱力してっていう感じだった。リラックスした状態ですね」

 午前は大雨で、室内でノックを受けた。内野手の背後をところ狭しと動き回ったゴールデングラブ賞5度受賞のOBから、その場でアドバイスを受けた。時に山なりのスローイングをして、体の力が抜けている状態を意図的につくり出した。

 「ボールをはじいた時も、一塁方向にむかってはじく。それも脱力しているからこそできると言われた。頑張って習得したい」

 バッティングで「力むな」は一般的な言葉ながら、守りで使われるのは珍しいと言える。その意図を、鳥谷臨時コーチは説明した。

 「内野の守備で、緊迫した場面では、嫌でも力が入る。力を抜ければ、正しい自分の動きができる。より上体の力を抜いて、下(下半身)の力で野球ができるようにというのを、意識してもらっている。全身に力が入ったら動けないので」

 佐藤輝にとって、貴重な時間になったことは間違いない。プロ入りして2年間、メインのポジションだった右翼を離れ、今季から念願の三塁に専念する。しかし、記録上は決してうまいとはいえない。この2年、三塁で12個も失策を犯している。9日のシート打撃で本塁打を放った持ち味の打力を生かすためにも、守備力向上は喫緊の課題なのだ。

 岡田監督からは1月に「3打席打ったら守備固めという選手になったら困る」とハッパをかけられていた。いわば、フルイニング出場指令。球団生え抜きでは、85年の掛布雅之を最後に、三塁でフルイニング出場をした選手がいない。球団史上4人目の「ホットコーナーの番人」に向けて、実り多い一日を過ごした。

 守りが上達した先に見えてくるフルイニング出場。鳥谷氏はその道でも偉大な存在だ。プロ野球歴代5位となる667試合連続フルイニング出場を果たした実績に敬意を表しながら、佐藤輝は「どうやったら試合に出続けられるのかを聞きたい」と“おかわり指導”を志願。滞在は、11日まで。聞けることは何でも聞くしかない。(倉世古 洋平)

 ▽17年の阪神・鳥谷 春季キャンプで正遊撃手の座を北條と争い、オープン戦に入ってから三塁手転向。5月24日の巨人戦で顔面死球を受け鼻骨を折ったが、翌日以降はフェースガードをつけて連続試合出場を続けた。シーズンの全143試合に出場して138試合で三塁を守り、ゴールデングラブ賞の投票では113票を獲得。2位のDeNA・宮崎に21票差をつけて三塁手部門で初受賞した。

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2023年2月11日のニュース