これぞ大谷劇場!土壇場同点打のち激走でサヨナラホームイン エンゼルス首位死守に貢献

[ 2022年5月10日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス5―4ナショナルズ ( 2022年5月8日    アナハイム )

<エンゼルス・ナショナルズ>9回、レンドンのサヨナラ適時打でホームに向かう大谷(撮影・光山 貴大)
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 逆転サヨナラの主役だ。エンゼルスの大谷翔平投手(27)が8日(日本時間9日)、ナショナルズ戦で2―4の9回2死から同点二塁打を放つと、直後の中前打で激走。間一髪でサヨナラの生還を果たし、喜びを爆発させた。起死回生の一振りと、右股関節の張りを抱えていた不安を感じさせない全力疾走で、0・5ゲーム差の首位を死守する劇勝に貢献。まさに「大谷劇場」の一戦だった。 

 二塁塁上で3度もガッツポーズし、大谷は雄叫びを上げた。2番トラウトが空振り三振に倒れ、2―4の9回2死一、三塁で打席へ。2球目、8試合連続無失点中だった抑え右腕レイニーの内角スライダーを振り抜き、左中間フェンスにぶち当てる同点二塁打だ。

 お膳立てだけでは終わらない。続くレンドンが中前打。中堅はリーグ屈指の強肩ロブレスだったが、迷いはなかった。「最後は突っ込むことだけ考えて。2死だったのでいいスタートをまず切ることと、いいベースランニングをすること。いい打球だったので本塁に間違いなく帰れるかなと思っていた」。長い右足を伸ばし、サヨナラの生還。滑り込んだ勢いで跳び上がって1回転すると、右腕を勢いよく振り下ろし、喜びを全身で表現した。

 1日のホワイトソックス戦の走塁で右股関節の張りを訴え、途中交代。翌2日の同戦では全力疾走できずに二ゴロに倒れた直後、ベンチ内でヘルメットを叩きつけ怒りを爆発させた。5日のレッドソックス戦の投打での活躍後も「走塁の時は若干緩んだりする」と明かすなど不安は残る。しかし、ここぞの場面で大谷らしい全力疾走と、スムーズな足の回転がよみがえった。

 大リーグ公式サイトでデータ分析担当のデービッド・アドラー記者によれば、二塁から本塁へのスプリントスピードは秒速29・1フィート(時速約31・9キロ)。大リーグ平均の27フィート(約29・6キロ)はもちろん、自身の昨季平均28・8フィート(約31・6キロ)をも上回る。捕手のタッチより一瞬早く、「母の日」仕様でピンク色をあしらったスパイクが本塁に触れた。

 今季チーム30試合で打率・235、4本塁打、16打点と本調子ではないが、過去9打席での打球は全て中堅から左翼方向。フライの割合も増え、本来の形が戻りつつある。「ここ数試合は感じ的には悪くない。いい感じの打球も上がっている。あともうちょっとかなという感じ。もうちょっと我慢が必要かなと思う」。快足とともに、打棒復活も近い。(笹田幸嗣通信員)

 ≪「本塁から一塁」なら両リーグトップ≫大リーグで15年から本格導入されたデータ計測システム「スタットキャスト」で、スプリントスピードの計測は柵越え以外で走者が最低2つのベースを回ったことなどを条件とする。この日に大谷が記録した秒速29.1フィートは今季の両リーグ16位タイで、一流とされる同30フィート(時速約32.9キロ)に迫る数字。また、今季の大谷は本塁から一塁までの平均到達時間で、両リーグトップの4.09秒をマークしている。

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