慶大・萩尾　初球先頭弾＆サヨナラ弾!　プロでもない“激レア弾”

東京六大学野球第4週第2日   慶大3―2法大 （ 2022年5月1日    神宮 ）

＜慶大・法大＞9回、サヨナラ弾を放ち、チームメートに祝福されながらガッツポーズする慶大・萩尾（中央）（撮影・木村　揚輔）
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　2回戦2試合が行われた。前日に敗れた慶大は、1番・萩尾匡也外野手（4年）がリーグ史上初めて初球先頭打者本塁打＆サヨナラ本塁打を同一試合で放った。プロ野球でも過去にない「激レア弾」により3―2で法大を下し、1勝1敗とした。

　初めて尽くしの一日だ。慶大・萩尾にとって、今季1号となった先頭打者本塁打は、野球人生で初めて。さらに、サヨナラ本塁打も「それも（人生で）初めてです」と笑った。

　1本目は初球の直球をバックスクリーン左に運んだ。同点の9回1死走者なしでの2本目も、初球の直球を左翼席へ。初回の初球先頭打者弾は過去14本（13人）記録されているが、同じ試合でサヨナラ本塁打もマークするのはリーグ史上初の快挙だ。「（サヨナラ本塁打は）いったと思ったんですけど、さすがに“走っておかないとまずいな”と思った。あんまり実感はないです」と照れくさそうな表情を浮かべた。

　50メートル6秒0の俊足を買われ、ここまで全7試合に1番で出場。文徳（熊本）時代に通算46本塁打を放った長打力は、1学年上の村上宗隆（九州学院＝現ヤクルト）とともにスラッガーとして注目された。「大学ではホームランも打ちながら率を上げられるかにこだわってきた」。今春は打率・333とそれを体現している。2年春には初打席初アーチの派手なデビューを飾っており、それ以来の本塁打が「激レア」な2発と、再び驚かせた。

　堀井哲也監督からはリーグ戦開幕前、3番・広瀬と2人合計で「10本は本塁打を打て」と指令を受けていた。「そろそろ出てほしいなと思っていた」と本人も待望の一発。ここまで3本塁打の広瀬と合わせて5本と、目標達成も見えてきた。

　「初回の攻撃でいい打球を打つことが相手へのプレッシャーになる」と萩尾。自身で始まり、自身で決着をつけた。こんなに頼もしいリードオフマンは、なかなかいない。（田中　健人）

　◇萩尾　匡也（はぎお・まさや）2000年（平12）12月28日生まれ、熊本県出身の21歳。文徳時代は甲子園出場はなく、高校通算は46本塁打。慶大では、リーグ戦デビューした2年春の明大戦で史上26人目の初打席初本塁打をマークした。1メートル80、84キロ。右投げ右打ち。

　≪プロ野球ではパウエルが先頭打者弾＆サヨナラ弾を記録≫プロ野球ではパウエル（中）が93年10月13日ヤクルト戦で唯一記録。初回裏先頭で伊東の4球目を運び、9回裏無死2塁で山田からサヨナラ2ランを放った。高校野球の甲子園でも一度だけあり、19年センバツで明石商の来田涼斗（現オ）が智弁和歌山戦で初回裏先頭、9回裏サヨナラソロと、いずれもカウント2―2から本塁打した。大リーグでは過去6人が記録。カウントの記録が残る88年以降に達成した4人で、初球の先頭打者本塁打はいない。