阪神・糸原 復調兆し4安打 難敵巨人・高橋を攻略「昨年の分をやり返そうと」

[ 2022年5月2日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神8-1巨人 ( 2022年5月1日    東京D )

<巨・神>9回、4本目の安打を放つ糸原(撮影・河野 光希)
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 逆襲の二文字をバットで体現し、阪神・糸原が今季初めて猛打賞を記録した。不振を極めた男がようやく復調へのきっかけをつかんだ。

 「あそこで僕が凡退していたら、また向こうに流れがいくと思うんで何とかランナー還すことだけを考えて」

 難敵攻略をけん引した。1点劣勢の6回1死一、三塁。2安打を放って迎えた第3打席も快音を響かせた。144キロの直球を左前にはじき返す同点打。表情を緩ませず、拳だけ握りしめた。

 「やられたらやり返さないといけないと思う。昨年の分をやり返そうという気持ちはありました」

 この回、梅野にも勝ち越し打が飛び出し、昨季5戦4勝を献上し、個人的にも22打数1安打に抑えられた高橋をついに撃ち落とした。8回に四球、9回も右前打。4安打1四球の全5打席出塁だ。打率・176から・211、わずか1日で3分5厘も上げた。

 開幕から攻守に精彩を欠き、ベンチスタートも珍しくなくなった。「苦しんだっていうか、チームに迷惑をかけていたんで…。今日は5出塁できてよかった」。笑顔がはじけることはなくても、暗黒だった視界に一筋の光が差し込んだ。

 春に迷い込んだ長いトンネル。ユニホームに袖を通し、白球を追うことの尊さを知るからこそ、もどかしかった。胸に刻むのは、プロアマ問わずグラウンドでプレーできる喜びと責任感。明大時代はレギュラー組から外れ、就職活動へシフトチェンジする控え組が毎朝の練習をサポートしてくれた。

 「朝からボールを投げてくれて、みんな一緒に朝の5時からポール間走をするんですよ。試合に出るのは自分のためだけじゃない。もし、高卒でプロに入っていたらそんなこと気付けなかったので」

 底は抜けた。「結果も出ていなかった、そういう意味では崖っぷち。一試合一試合、全力で戦うだけ」。はい上がってこそ糸原健斗だ。(遠藤 礼)

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2022年5月2日のニュース