ロッテ朗希の完全試合を脳科学者が分析 「打者が解けない問題」「野球が成立しなくなる」とした理由

[ 2022年5月2日 22:22 ]

4月10日のオリックス戦で完全試合を達成した佐々木朗(撮影・長久保 豊)
Photo By スポニチ

 4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)で完全試合を達成したロッテ・佐々木朗希投手(20)が2日放送のNHKBS1「スポーツ×ヒューマン『目覚めた“令和の怪物”~佐々木朗希 完全試合~』」(後9・00)で特集された。

 佐々木は10日のオリックス戦(ZOZOマリン)に先発し、プロ野球史上16人目の完全試合を達成。94年5月18日の広島戦(福岡ドーム)で槙原寛己(巨人)が達成して以来、28年ぶりの快挙で、20歳5カ月の達成は、1960年嶋田源太郎(大洋)の20歳11カ月を更新する最年少達成者となった。さらに、初回2死の吉田正から5回まで13者連続三振のプロ野球新記録を樹立。1試合で奪った19三振はプロ野球タイ記録という歴史的快投だった。最速は自己最速タイの164キロだった。

 この圧倒的な投球について、番組では直球とフォークボールの軌道に着目。脳科学者の柏野牧夫氏は「脳科学的には奥深い、興味深い対象だと思います」とした上で「例えば時速200キロの球を打つことは可能は可能だと思います。ですけど、今回の佐々木投手の完全試合の件というのは、そういうことではなくて、解けない問題を出すというのに近い」と語った。

 打者は球種を予測するポイントがある。投球フォームの違いや、投げた直後の軌道という情報から判断するが、佐々木の場合は、打者が振るかどうかの判断を下す地点までに、投球フォームも同じで、直球とフォークも軌道も一致しているという。「このフォームであったり、最初の軌道というものを非常にうまく制御して、なるべく遅くまでバッターに情報を与えないということが、ちゃんと理詰めでできている」と分析した。

 具体的には、打者がバットのスイング開始からインパクトまで一般的に約0・2秒と言われているが、佐々木朗の場合は、軌道が分かれてからミット到達まで0・2秒かからないという。柏野氏は「情報を与えるタイミングをあそこまで、ギリギリまで追い込まれたら、それはバッターとしてはとにかく振っていくしかない。まぐれで当たるしかない」とし「変な話、あのレベルの投球をずっとされたら、ちょっと野球というゲームがつまらなくなってしまう、成立しなくなってしまうかもしれないという圧倒的なピッチングだったと思います」と総括した。

続きを表示

この記事のフォト

2022年5月2日のニュース