阪神、西純で逆襲の6連勝!“朗希世代”逸材が首位・巨人を7回1失点圧倒1勝 「自分のスタイル出せた」

[ 2022年5月2日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神8―1巨人 ( 2022年5月1日    東京D )

<巨・神>6回、ポランコを三振に仕留め、ガッツポーズを決める西純(撮影・平嶋 理子)
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 阪神・西純矢投手(20)が今季初登板した1日の巨人戦で昨年5月19日ヤクルト戦以来のプロ2勝目を挙げた。通算3度目の登板で自己最長7回を1失点。最速153キロの直球と同146キロのフォークを武器に3安打に封じ、8三振を奪うなど初対戦の宿敵を圧倒した。高校時代に佐々木朗(ロッテ)らと「高校BIG4」と称された素質を開花。今季最長の6連勝に貢献した。

 何度も吠(ほ)え、何度もグラブをたたいた。そして、何度も笑った。4万人超の観衆の前で投げるのはプロでは初めて。西純は文字通り野球を“満喫”した。

 「たくさん人が入っていたし、スゴく気合が入った。(アドレナリンは)だいぶん出ましたね!もうそのまま、自分のスタイルを出せたかな、と」

 直球で攻め、切れ味鋭いフォークも効いた。「(フォークは)いつもより2、3キロ速かった。フォームがよくなってきているんで、出力も上がってきている」。初回2死一、二塁で丸を空振り三振。最速146キロで低めに落とした。2回にプロ初被弾で先制されても動じない。6回まで毎回8三振を奪い、5回から3イニング連続で3者凡退。自己最長7回を91球で投げ抜いた後、自らへの代打・糸井の適時打ではベンチで何度も跳びはねて喜んだ。

 原点の“楽しむ”に回帰するきっかけがあった。際どい球をことごとくボール判定され、5与四死球の末に5回途中で降板した先月10日のウエスタン・リーグ広島戦。マウンドでいら立ちを募らせた後、観戦していた母・美江さんから連絡が来た。「“審判に怒っているの、すぐ分かるから。そういうときの勝率0割だよ。笑顔で投げた方がいいよ”って言われて…」。独り相撲を省み、「笑う門には福来る」を掲げた次戦22日の同オリックス戦で9回1失点。昇格切符をつかんだ。

 2軍でも多くの登板を見守ってくれた母の姿は東京ドームにもあった。1軍マウンドは昨年6月以来。第1球も笑顔の後に投げ込んだ。「見に来るときはいつも、いいピッチングができないんですけど、今日だけはよくやったかな、と」。母に贈る2つ目の記念球を手に入れた。

 「(佐々木)朗希も奥川もオヨ(及川)も本当に頑張っていて、負けられないな、と。歯がゆい日々が続いていたけど、今年はやるぞって気持ちで、ずっと過ごしている」

 佐々木朗も開幕から日曜日の登板で、今季交流戦で投げ合う可能性もある。「活躍はやっぱり自然と目に入ってくる。4人だけじゃない。みんな活躍しているので、自分もそれに乗っていけるように。最終的には一番になれたらいい」。目指す世代No・1への道のり。347日ぶりに踏み出した“第二歩”は1年前よりも格段に力強い。(阪井 日向)

 【西純矢アラカルト】

 ☆生まれ&サイズ 2001年(平13)9月13日生まれ、広島県廿日市市出身の20歳。1メートル85、90キロ。

 ☆高校BIG4 創志学園では1年夏からベンチ入りして2年夏の甲子園大会では創成館との1回戦で16奪三振の完封。2回戦で敗退。3年時にはU―18日本代表に選出され、大船渡・佐々木朗(現ロッテ)らとともに「高校BIG4」と呼ばれた。19年ドラフト1位で阪神入り。

 ☆初代王者 モバイルゲーム「プロ野球スピリッツA」がマイブームの一つ。12球団の現役選手が参加して昨年12月に開催された「プロスピAプロ野球選手チャンピオンシップ」では巨人・高橋らを破って初代王者に輝いた。

 ☆親孝行 新人だった20年には給料で母親に車をプレゼント。

 ☆研究熱心 昨年11月からエンゼルス・大谷も利用する米国のトレーニング施設「ドライブラインベースボール」考案の「プライオボール」でフォーム修正。同期の井上とは初動負荷トレーニングも敢行。 

 ○…西純(神)が初の巨人戦登板で勝利。阪神投手の巨人戦初登板勝利は4月16日ウィルカーソン(先発)以来、今季2人目。現在高卒3年目の20歳7カ月。20歳以下で巨人戦初勝利は、18年高卒2年目の才木以来で、19歳6カ月の5月27日、2度目の登板(初先発)で勝利。初登板初先発では13年高卒新人の藤浪以来。19歳3カ月の8月4日に勝利している。

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