育成出身のソフトバンク・大関が7回途中1失点の「横綱」投球で初先発初勝利 チーム20年ぶり開幕6連勝

[ 2022年4月1日 05:30 ]

パ・リーグ   ソフトバンク3ー1ロッテ ( 2022年3月31日    ZOZOマリン )

<ロ・ソ3>プロ初先発初勝利を挙げたソフトバンク先発・大関(撮影・沢田 明徳)
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 ソフトバンク・大関友久投手(24)が31日、ロッテ戦でプロ初先発初勝利をマークした。最速150キロの直球を武器に6回1/3を1失点。球団の育成出身投手の初先発初勝利は、18年の大竹耕太郎投手(26)以来2人目だ。チームは02年以来20年ぶりとなる開幕6連勝。藤本博史監督(58)は新人監督として歴代1位に並ぶ開幕連勝記録となった。

 ゲームセットの瞬間笑みがはじけた。大関は藤本監督から「ナイスピッチング!」と声を掛けられると歓喜のハイタッチ。初のヒーローインタビューは少し緊張気味だった。

 「連勝の流れに乗って、という気持ちで投げた。楽しむ余裕はなかったけど、大事なところを抑えた時は楽しかったし、うれしかった」

 最大のヤマ場は2―1の6回2死三塁。中村奨に対し「一番自信がある」と全て直球で勝負した。2球で追い込むと最後はこの日最速の150キロで左飛に打ち取り「いい当たりはされたけど、いいボールだった」と胸を張った。無四球で7回途中6安打1失点にまとめた。

 甲斐のリードを信じて腕を振った。昨年5月に支配下登録されると、1軍で12試合に登板。信念を曲げない性格で「少し意見することもあった」と振り返る。「やっぱり経験の差が違う。あれだけの成績を残した人。配球の意図や存在感の大きさを改めて感じた」と考えを変え、打者との勝負だけに集中した。

 昨年ファームで状態が上がらなかった時には不安を抱くこともあった。勇気をくれたのは人気野球漫画「メジャー」の主人公・茂野吾郎の「男ならできるかできないかじゃなくて、やるか、やらないかだろ」というせりふだった。「全部心に刺さって泣けてきた」と大関。プロ初先発の大チャンスででっかい仕事をやってみせた。

 藤本監督には新人監督として歴代1位に並ぶ開幕連勝記録をプレゼント。指揮官は「よく投げてくれた。堂々とした顔でポーカーフェースやからね。あの気持ちで投げてくれたらこれから楽しみ」とさらなる活躍を期待した。

 大関はウイニングボールを「両親に渡そうと思う」と照れくさそうに話した。励まし続けてくれた家族に届けたプロ初白星。逆境を乗り越えてつかんだ勝利の味は格別だった。(福井 亮太)

 ◇大関 友久(おおぜき・ともひさ)1997年(平9)12月14日生まれ、茨城県土浦市出身の24歳。土浦湖北では甲子園出場なし。仙台大を経て19年育成ドラフト2位でソフトバンク入団。21年5月28日に支配下登録され、昨季は救援12試合で0勝0敗、防御率2.35。1メートル85、94キロ。左投げ左打ち。

 《新人監督トップタイ》藤本博史監督の開幕6連勝は新人監督としては中日・与那嶺要(1972年)、阪急・梶本隆夫(79年)に並ぶ史上最長。チームの開幕6連勝は02年以来20年ぶり。

 【記者フリートーク】大関の恩師である茨城・土浦湖北高の小川幸男監督は「怖くて見られなかったけど本当にうれしい」と喜びを語った。小川監督は21年間務めた同校の監督をこの日で退任。昨年定年を迎え、この1年間は生活費を切り崩しながら指導を続けてきた小川監督は「この学校での花道を飾ってくれたと思う。後輩たちの励みなる」と感激していた。

 大関はプロ志望が強く、ドラフト指名がなければ入団テストを受けると言い張り、恩師は「12球団のスカウトは見ている。大学でしっかり力をつけないさい」と諭した。小川監督は「何があっても信念を曲げない性格。それが今にも生きていると思う」と教え子の頼もしい姿に誇らしげだった。(ソフトバンク担当・福井 亮太)

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2022年4月1日のニュース