日本ハム・新庄監督 開幕連敗5で止まる!待望1勝、周囲大盛り上がりも「あと5くらい負けても良かった」

[ 2022年4月1日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム6―2西武 ( 2022年3月31日    札幌D )

<日・西>ウイニングボールを手に初勝利を喜ぶ日本ハム・新庄監督(撮影・西川祐介)
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 ついにこの瞬間が訪れた。日本ハムは31日、西武を6―2で下し、新庄剛志監督(50)が就任後、6試合目で初勝利を挙げた。負ければ球団ワーストに並ぶ開幕6連敗となる中で、先発の立野和明投手(23)が5回2失点と力投。浅間大基外野手(25)が先制2ランを放つなど期待の若手たちが投打に躍動し、ようやくビッグボスの野球が「開幕」した。

 この瞬間を待っていた。連敗を5で止め、ようやくつかんだ初勝利。左翼・松本剛からウイニングボールを受け取ると、1万2655人の地元ファンにボールを突き上げた。

 「終わった後、ベンチ裏がウワーってリーグ優勝したみたいだった。ファンはこの1勝を望んでくれたのでうれしい」と新庄監督。もっとも沸く周囲に対し笑顔はどこか抑え気味。こみ上げるどころか、「もう少しドラマが欲しかったかな。負けて、負けて最後にひっくり返すストーリーが凄い好き。あと5くらい負けても良かった」と続けた。強がりか、本心なのか。「そんな弱い人間じゃないよ俺は。すっげー逆境をくぐり抜けてきている」と重圧とは無縁と笑い飛ばした。

 球団ワーストの開幕6連敗を喫した97年以来となる開幕5連敗。批判も次第に大きくなっていた。そんな中、今季初登板の立野を先発に送った。右腕は登板前日に「監督が叩かれないように投げます。1面書く準備しといてください」と男気発言。初勝利の感慨は別として、選手の気持ちがうれしかった。「ああいう発言は心強かった」と新庄監督。その立野が5回2失点と有言実行の投球。「1面はビッグボスで。肩にぽつんと僕の顔だけ」とお立ち台で笑わせた右腕の姿に、頼もしげにうなずいた。

 11年に亡くなった父・英敏さんに厳しく育てられた。プロ入り後も父から「初球ば打たんか!一番甘かろうもん」と怒鳴られた。「スライダー待っとんねん」と反論しても「真っすぐば、いかんかい!情けなか」とまた怒られた。「褒められたいからいろいろやるけど、ほとんど褒められなかった」。誰よりも結果を気にかけてくれていた天国の父に、地元・福岡で初勝利をささげることはできなかったが、第二の故郷・札幌から届けた。

 厳しかった父とは対照的。経験のない選手たちは徹底的に褒め、自信を植え付けている途中だ。「失敗して学んでいく。勝敗は俺が全部責任を取る。食らいついている姿を見ているとじーんとする。選手の歯がゆい表情を見ている俺が一番歯がゆい」。選手と感動し、悔しがり、新米監督は奮闘している。

 札幌ドーム最終年。ウイニングボールは札幌ドームに飾る予定だ。指揮官が期待する若い選手がこれからどんどん記念球を運んでくれるはずだ。(東尾 洋樹)

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