イチローさんに聞く 足つっても続投の理由「絶対負けたくなかった」 「緊張感はWBC以来じゃないか」

[ 2021年12月18日 19:18 ]

先発のイチロー氏(撮影・坂田 高浩)
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 女子高校野球選抜チームと、マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクターのイチローさん(48)が結成した野球チーム「KOBE CHIBEN」とのエキシビションマッチが18日、行われた。

 「9番・投手」で先発出場。気温6度と冷え込む中、息を手に吹きかけながらテンポの良い投球を見せた。最速135キロを軸に、スライダー、ツーシームも交えて、4安打17奪三振完封。相手の4番・神野百花(福知山成美)には2打席連続で死球を当て、帽子を取って深々と頭を下げるシーンもあった。100球を越えた終盤は左足を叩く仕草を見せ、8回には足がつった。膝に手をついて険しい表情を浮かべ、一時プレーはストップしたが、9回147球を投げ抜いた。

 それでも、8回には帰塁で負傷した相手の二塁走者をケア。心配そうにベースのそばまで歩いていき、声をかけていた。

 打っては木製バットを手に打席に立ったが、相手投手の緩急に翻ろうされて投ゴロ、二ゴロ、一ゴロ併殺に倒れた。

 一問一答は以下の通り。

 ――ナイスゲーム、ピッチングでした
「ワハハ。ありがとうございます」

 ――あの足の状態は初めて見た
「初めてですよ、そりゃ」

 ――寒さですか
「寒さは大きいですね。あとは力の入り方が普段とは違うんで、それももちろんあったし」

 ――147球、最後まで130キロ台であのテンポ、日頃のトレーニングの賜物では
 「賜物じゃない感じが出ちゃったんで(笑)賜物だったらもうちょっとできるんだけど(笑)。でもなんとか最後まで出来て、でも自分の限界が見られたという意味ではアスリートとしてとても有意義な1日ですね」

 ――一人で投げ切るのは想定していたか
 「もちろんそうなんですけど、やはりオールスターのチームですから、なかなかそうもいかないんじゃないかと思うしね。気持ちはあったんですけど、(完投は)難しいとは思っていました」

 ――9回のマウンド、拍手が起こった
「いやー、そうね、久しぶりにこういう気持ちになった。なりましたね。もう、いや、なんか『泣くわ』と思って(笑)本当に参っちゃったねぇ(笑)」

 ――2年前は「楽しかった」が第一声だった。今回は
「まぁ、最後まで出来てよかったと思います。女子は通常7イニング制のはずなんで、彼女たちも負担は大きかったと思うし、遠くから全国から来てくれているし。今日集まって初めて練習やってとか、それは大変だったと思うんで、なんとか形にできたこと。デッドボールも当てちゃったし…ほんとに申し訳ない。申し訳ないですね」

 ――今回受けた印象
 「女子の野球熱は男の子に全然負けていないというか、こうやって野球をやる子たちというのはきっと男子よりもそういう思いが強い子が多いんじゃないかと思うんですよね。負けるのは嫌いだろうし、本当に僕も今日絶対負けたくなかった。緊張感があったし、こんなのいつ以来だろうって。本当にWBC以来じゃないかっていうくらい、負けられない緊張感を味わいました」

 ――今年の高校生指導を終えて、どんな思いを持っているか
 「あの年代の子たちの野球はすごく面白いですね。それはプロの世界には全くないものがあるので。やっぱり一緒にできる一緒にやるというのが大事なことだと思いました。(心が)真っ直ぐだし本気で目指しているし、先をね。本当に気持ちいいですよ」

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