神戸大35年ぶりの優勝 和歌山大敗れ逆転 コロナ禍乗り越え悲願 近畿学生リーグ

[ 2021年10月5日 12:38 ]

近畿学生野球秋季リーグ最終節   和歌山大1―5奈良学園大 ( 2021年10月5日    大阪市・南港中央野球場 )

和歌山大の試合を見つめる神戸大・中井明則監督
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 神戸大が1986(昭和61)年春季以来、35年、70季ぶり(中止となった2020年春季を除く)9度目のリーグ優勝を果たした。

 勝ち点4で全日程を終了していた神戸大は優勝に王手をかけていた和歌山大が5日、奈良学園大に敗れたため、勝ち点4で並び、勝率で上回った。

 神戸大の中井明則監督(51)は大阪・梅田でカタログギフト販売の会社を経営する。朝から和歌山大の試合経過をネットの速報で追っていたが「これでは仕事にならない。優勝の瞬間を選手たちと分かち合いたい」と南港中央野球場に駆けつけた。試合終了間際に球場入りし、優勝を知った。スタンドでは喜び合うのは控え、選手たちは静かに引きあげていった。

 中井監督は「優勝とはこんなものなのか……」とすぐには実感がわかなかったそうだ。相次ぐお祝いの電話に応対しながら喜びをかみしめた。「OB会長は泣いておられた」と悲願の重みをあらためて知った。

 監督就任8年目。「何年間も悔しい思いをしてきました。和歌山大が初優勝したころ(2017年)から本気で優勝を狙いをすえて、やり続けてきました。そんな思いが積み重なって、この秋、花開いたのだと思います。決してこの秋だけのことじゃありません」

 開幕前は不安ばかりだった。8月19日に部員17人が新型コロナウイルスに感染。秋季リーグ開幕2日前の9月2日まで活動休止となった。

 8月はオープン戦を1試合も行えなかった。実戦不足で中井監督も「どう選手を組み合わせ、どんな戦い方をするべきか手探りの状態だった」。ぶっつけ本番のつもりでいた開幕カードの相手・奈良学園大がコロナ感染で棄権。2試合とも不戦勝で勝ち点を得た。

 第2節の和歌山大には連敗したが、7月のオープン戦以来の実戦で、少し感覚が戻ってきた。「試合をしながら強くなり、一体感も高まっていった」。続く大阪府大、大阪市大、そして最終節の阪南大と6連勝でシーズンを終えた。

 特に3、4日の阪南大戦はともに終盤に逆転。4日は9回裏逆転サヨナラの劇的な勝利だった。

 優勝を逃した和歌山大の大原弘監督(56)は「選手が替わろうとも毎年、粘り強く、団体の力を発揮するチームであり続けています。伝統の力を感じていました」と勝者をたたえた。

 グラウンドはホッケーやラクロスなどと共用で全面使用できるのは午後1時―3時の2時間。少ない全体練習を自主練習で補うのが伝統となっている。

 神戸大野球部は前身の神戸高商創立と同時の1903(明治36)年創部。関西でも有数の歴史を誇る。31(昭和6)年の旧・関西六大学リーグ発足と同時に加盟し、62年から近畿学生リーグに所属。同リーグで過去8度の優勝を果たしていた。

 OBには阪神元球団社長の三好一彦さん(91)や、唯一のNPB選手として元ヤクルト育成の塚本浩二投手がいる。

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