阪神・大山の特大弾に思い出す掛布雅之氏の言葉 「打てなくても1面を飾るのが本当の4番打者」

[ 2021年9月27日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神4-3巨人 ( 2021年9月26日    東京D )

<巨・神22>3回2死、大山(左)は先制ソロホームランを放ち、メダルをかけられる(撮影・椎名 航)
Photo By スポニチ

 【畑野理之の理論】ベースを一周する間は淡々としていた。スタンドに飛び込んだのを確認した時に少しニヤッとしただけ。派手なパフォーマンスをしない大山悠輔に、もっと喜べばいいのになんて思わない。1点リードしたくらいで、序盤3回でこの後どうなっていくかわからないし、実際にそうなった。相手を挑発したくない思いもあり、実直でまじめな人間性が控えめにさせるのだろう。個人的には好感しか抱いていない。

 この3連戦から4番に戻った。しかし完全に復調して奪い返したわけではなく、打線全体の状態が上がらず開幕時のオーダー、すなわち原点に帰ることが目的だった。初戦は初回無死一、三塁で遊ゴロ併殺の間に三塁走者を還し、3回は1死満塁で中犠飛。2戦目は4打数無安打で、この日3戦目は先制ソロ。決して打棒爆発とまでは言えないが、チームは2勝1分けと勝ち越した。

 『4番打者』には打つだけではなく、特別な仕事もあると思っている。打線の顔ともいうべき任務。17日に平田勝男2軍監督が面白いことを言っていた。「掛布さんは4打数3安打でも最後2死満塁のサヨナラ機で三振したら“掛布大ブレーキ”なんて言われていたんやで」。これは当時2軍で調整していた佐藤輝明へ向けた言葉だったが、大山にも当てはめたい。

 掛布雅之(現阪神レジェンド・テラー)が3安打後にサヨナラ機で三振した試合が実際にあったかどうかは例え話だろうが、「4番打者」とはそういうものだよと、敗戦の責任を負う立場なんだよと言いたいのだ。掛布も何度もこう話している。

 「打てなくて1面になったときに4番として認められた」

 「三振して大きく取り上げられるのもタイガースの4番だから」

 田淵幸一がそうだったし、掛布もその背中を見て育った。金本知憲も、今シーズン中に4番を外れていた時期の大山へのアドバイスとして、似たようなことを言っている。「金本のせいで負けたって言われているのを聞いたら、むしろうれしかった。今に見てろよと思ったし、チャンスで回ってきたら“よし来た!”って楽しめばいい」

 5回1死一、二塁で空振り三振に倒れて得点圏打率はさらに・193に下がった。確かにチャンスには弱いと数字に出ている。しかし勝利打点はこの日14度目となり巨人・岡本和真の15に次いでリーグ2位。決して大きなこともカッコつけたことも言わないため目立たないが、勝っても負けても決着をつける一打は少なくない。4番にふさわしい男だと思う。=敬称略=(専門委員)

続きを表示

「始球式」特集記事

「新庄剛志」特集記事

2021年9月27日のニュース