鈴木啓示氏 阪神バッテリーはピンチで前日好投の高橋の“残像”を見事に生かした

[ 2021年9月27日 07:30 ]

セ・リーグ   阪神4-3巨人 ( 2021年9月26日    東京D )

鈴木啓示氏
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 【鈴木啓示 視点】阪神バッテリーは勝負どころで、前日の高橋の力投の残像を見事に生かした。8回に3番手・岩崎が3連打などで2点を失い、なおも1死二塁で打席は坂本。ここがポイントだった。勝負球は内角に沈むスライダー。高橋が前日の4回に尻もちをつかせて空振り三振に仕留めた球だった。

 坂本の頭にもスライダーはあったはず。それでも、やはりタイミングは合わない。気負いもあった分、バットは空を切った。巨人に傾きかけた流れを、岩崎―梅野で止めてみせた。苦しい場面でも冷静に対処していた。

 先発したガンケルも力まず、丁寧に打者の手元で球を変化させ、低めに集めることに徹していた。前回19日の巨人戦では2回に大量7点を取られてKO。「また、やられるのでは」という不安を打者相手に出すことなく、ゴロを打たせて、アウトを重ねた。力んで、制球を乱した巨人・山口とは対照的な無四球の投球だった。

 優勝争いの中で、この試合が持つ意味は両軍ともに分かっていた。だが、巨人は高橋に完封されたことで、後がないと焦り、気負って、攻守ともに精彩を欠いた。阪神は個々では状態の善し悪しがあっても、チーム全体としては焦ることなく、場面場面をこなしていった。その差が3連戦で阪神の2勝1分けという結果につながったと思う。

 糸井の先発起用も当たり、ベンチと選手がひとつになったときの強さを阪神は改めて感じたはず。残り23試合。苦しいときでも、これまでの経験を信じて、チーム全員で戦う姿勢を貫くことが大事だ。

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