阪神・佐藤輝 試練の5三振もフルスイングで乗り越えろ 矢野監督は打線テコ入れへ大山7番降格を明言

[ 2021年7月5日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3-4広島 ( 2021年7月4日    マツダ )

<広・神(10)> 9回1死一、二塁、佐藤輝は空振り三振に倒れる(撮影・大森 寛明)
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 阪神・佐藤輝明内野手(22)が4日の広島戦でプロ野球記録に並ぶ1試合5三振を喫した。特に5、9回の好機を生かせず、逆転敗戦につながった。打線全体でも毎回走者を出しながら12残塁。巨人も敗れたことで“マイナス0・5ゲーム差”での首位陥落を免れた一方、リーグ戦再開後は5カードを終えて勝ち越しが一度しかなく、矢野燿大監督(52)はさらなる打開策に思いを巡らせた。

 猛虎を活気づけてきた佐藤輝が首を左右に何度も振りながら、ベンチに消えた。1試合5三振のプロ野球タイ記録――。初の屈辱に表情が険しかった。

 1点を追う9回1死一、二塁。連続四球で苦しむ栗林に対して、あとひと押しだった。空振りとファウルでストライクゾーンに反応し、フルカウントからの7球目。内角低めに落ちるフォークにバットが空を切った。新人王も争うドラフト1位同士の直接対決は、これで3打席無安打、2三振になった。

 3―2の5回も森下のカットボールに空振り三振。過去8打数4安打の打率5割を誇った満塁機を生かせなかった。直後に逆転を許し、分岐点にもなる逸機だった。今回の3連戦は2日に先発を外れ、打撃フォームを再確認して臨んだ前日3日に3安打。期待を高めた中での5三振だけに矢野監督も悔やんだ。

 「あれだけチャンスで回ってきて、何とかしてほしいというのはある。思い切っていきながら、どう対応できるかを、身につけていけるか。チャンスで還す打撃。それが勝たせる打者とか、よりいい打者になっていく」

 20号に王手をかけてから10試合38打席の足踏み。以前から「三振してしまうのは技術が足りないから。そこで当てていくような打撃はしたくない。強く振るのは変えずにやっていきたい」と自ら言い聞かせているように、フルスイングでしか試練を越えることはできないことを知っている。

 本塁打の最長ブランクは5月の12試合。脱出した同28日の西武戦は3発の大暴れだった。味わった悔しさの分、爆発力を高めるしかない。

 打線全体でも8回まで毎回11安打、3四球も含めて3者凡退が一度もなく、12残塁の拙攻だった。矢野監督は「1本出ていたら、状況はかなり変わった」と振り返り、6日からの9連戦へ、さらなるテコ入れを明言した。

 「火曜は隆(梅野)をちょっと上げて、悠輔(大山)をひとつ下げてと思っている」

 今季2度目の3三振で最後の打者になった大山は4番を外れてからの6試合で23打数4安打。梅野が6番へ上がり、7番で復調を探る見込みだ。かろうじて首位陥落は回避しても、前半戦の正念場は変わらない。(鈴木 光)

 ≪守備では初の直接補殺≫佐藤輝が右翼守備ではファンを魅了した。3―2の4回1死一塁で林の右前打を捕球し、持ち前の強肩で三塁へ正確なワンバウンド送球。楽々と一塁走者・長野の三塁進塁を阻止した。外野補殺は中継プレーに加わった先月30日のヤクルト戦以来2個目で、直接補殺は初めて。打撃では悔しい思いを味わっても、別の形で球場を沸かせた。

 ≪首位陥落危機は続く≫首位陥落を免れた阪神は、6日も首位とマイナス0・5ゲーム差の2位になる可能性がある。6日に阪神が敗れると44勝29敗3分けの勝率・6027、巨人が勝つと41勝27敗10分けの勝率・6029となり、2毛差で巨人が首位に浮上する。

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2021年7月5日のニュース